鋭い批判は時に、もろ刃の剣や自分に戻ってくるブーメランに…

西日本新聞 オピニオン面

 鋭い批判は時に、もろ刃の剣や自分に戻ってくるブーメランに。きのう国会で所信表明した菅義偉首相である。先週発売された本が注目されている

▼2012年刊行の著書「政治家の覚悟」(文芸春秋)を新書に改訂した。問題は、11年の東日本大震災を巡り、会議の議事録を十分に残さなかった当時の民主党政権を厳しく批判した部分が、きれいさっぱり削除されたことだ

▼<政府がどう考え、いかに対応したかを検証し、教訓を得るために、政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為>などのくだり

▼12年末に政権を奪回した自民党の安倍晋三内閣で、菅氏は先月まで官房長官を務めた。その間、「もり・かけ・桜」などの疑惑が相次いで浮上、公文書の隠蔽(いんぺい)、廃棄、改ざんが明らかになった

▼菅首相は自身のブログ(12年1月28日付)でも<公文書の作成は、政党の主義主張とは全く関係のない、国家運営の基本です。議事録作成という基本的な義務も果たさず、「誤った政治主導」をふりかざして恣意(しい)的に国家を運営する民主党には、政権を担う資格がないのは明らかです。国会の審議で厳しく質(ただ)してまいります>と

▼うなりを上げて戻ってくるブーメランを首相はどうかわすのか。著書の改訂くらいではごまかせまい。国民への背信とならぬよう、国会で納得のいく説明を。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ