バレット最高裁判事を承認 米上院 大統領選への影響見通せず

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】米上院は26日の本会議で、共和党トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名した保守派の高裁判事エイミー・バレット氏の人事案を承認した。最高裁が一層保守化するのは確実で、人工妊娠中絶などを巡って今後、リベラル派に不利な司法判断が増える可能性もある。11月3日に大統領選を控えるトランプ氏は、今回の承認を支持拡大につなげたい考えだが、投開票日直前の人事には反発も根強く、選挙戦への影響は見通せない。

 上院の採決では、大統領選と同日実施の上院選で苦戦する共和党女性議員が、リベラル層の支持獲得を狙って反対票を投じたが、賛成52、反対48の賛成多数で可決した。

 9人で構成する最高裁判事は終身制。バレット氏の就任で保守派6人、リベラル派3人となり、保守派の優勢が長期化する公算が大きい。敬虔(けいけん)なカトリック教徒のバレット氏は、過去の言動から中絶の制限に理解を示しているとみられる。オバマ前大統領が導入した医療保険制度改革(オバマケア)を合憲と認めた2012年の最高裁長官の判断も批判していた。

 トランプ氏は承認から約1時間後にホワイトハウスでバレット氏就任の宣誓式を開き、笑顔で拍手を送った。選挙戦最終盤でも劣勢が伝えられるだけに、大統領就任後、バレット氏を含め3人の保守派判事を指名したことをアピールし保守票固めを図る狙いだ。今回の人事には、大統領選の勝敗がもつれて集計作業などを巡る訴訟が起きた場合、最高裁判断に持ち込んで再選を果たす思惑もある。

 司法の保守化に懸念を強める民主党では、最高裁判事の定員増加論が浮上するが、約150年続く定員9人の変更には米国内に異論が少なくない。トランプ氏は最高裁判事の増員を争点化すれば、増員に反対する浮動票を取り込めるとみて攻勢を強める。

 こうした事情を見越して、民主党の大統領候補バイデン前副大統領は判事増員について態度を明確にせず、最高裁改革に向けた超党派の委員会設置に言及するにとどめる。逆に、異例の早さで承認手続きを強行したトランプ氏や共和党を「拙速」と攻撃し、批判票を獲得したい考えだ。

 バレット氏は上院委員会の公聴会で中絶問題なども含めた自身の考えについて一切、言質を与えなかった。大統領選の集計作業の是非を問う訴訟では、中立な判断が示されるとの見方もあり、保守派の判事が必ずしもトランプ氏の意向に沿う判断を示すかどうかは見通せない。

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