心と体ほぐす「ソシオエステ」 コロナでニーズ高まる

 「ソシオエステティック」と呼ばれるケアがある。美容を追求する一般的なエステと異なり、がん患者や障害者の身体と心をほぐし生活の質の向上を目指すという。新型コロナウイルスの感染拡大で重症化リスクを抱える人たちのストレスが高まる中、優しく寄り添うケアのニーズが高まっている。

 9月26日、佐賀市の商業施設エスプラッツで開かれたソシオエステの講座。予定の20人を上回る40人近くが集まった会場に、NPO法人「ソシオの杜(もり)」代表の江頭裕美さん(52)の姿があった。

 ソシオエステは衰弱した患者や高齢者、障害者を対象に、心身の苦しみを和らげるのが目的。メークやスキンケア、全身のマッサージなどは通常のエステと重なるが、医療や福祉の専門知識を持ち、内面にも寄り添うのが特徴だ。1960年代にフランスで発祥し、国内では2007年にソシオエステティシャンの養成講座が始まった。

 江頭さんはその講座の1期生だ。受講のきっかけは15年前、当時中学生だった長男の闘病生活。急性骨髄性白血病で苦しむわが子に何もできないながらも背中をさすり続けると、「一瞬、ほっとしたような表情を見せた」と振り返る。そんな中で日本エステティシャン協会を通じてソシオエステの存在を知った。「病気や障害があっても自分らしく生きられるよう支えることに共感した」

 福岡県久留米市でエステ店を営む傍ら、東京の養成講座に通い、1年ほどかけて同協会認定の資格を取得した。市民団体として草の根の普及活動を始め、15年にソシオの杜を同市で設立。佐賀県での依頼が増えたため、昨年1月、吉野ケ里町に拠点を移した。

 病院や高齢者施設など県内外の約30カ所を回り、ゴム手袋やマスクの着用など施術時のコロナ対策を講じた上で、末期がん患者や重度障害者の緩和ケアにも携わる。「患者を支える医療チームの一員として認知されつつある」と手応えを語る。江頭さんによると、コロナ禍で在宅介護や自宅療養に切り替える家庭が増加。患者と家族の双方ともストレスや不安を抱える傾向が強まり、ソシオエステに関する相談もコロナ前より3割ほど増えたという。

 ただ、認知度はまだ低い。資格取得者は全国に100人程度にとどまる。ソシオエステ単独で生計を立てるのが難しく、兼業している人がほとんどだ。江頭さんは「治療行為ではないけれども、今こそ、少しでも前向きな気持ちに導くソシオエステの取り組みを知ってほしい」と話す。相談や問い合わせはソシオの杜=0952(55)1077。

 (金子晋輔)

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