中村晃選手「恩返し」の一打 コロナ、故障…優勝へつないだ1年

西日本新聞 社会面 長浜 幸治

 プロ野球パ・リーグで福岡ソフトバンクホークスが3年ぶりに優勝した。勝てば頂点に立つ大一番で貴重な一打を放ったのは選手会長の中村晃選手(30)だ。両チーム無得点の五回に中堅への先制犠飛。三塁から川瀬晃(ひかる)選手が生還すると、打線に勢いがつき、リードを広げて九回を迎えた。

 3年ぶりのリーグ優勝が決まると、中村選手は「01」の背番号が入ったユニホームを手にベンチを飛び出した。番号の持ち主は9月15日に急逝した3軍コンディショニング担当スタッフの川村隆史さん。「僕が18歳だった新人のときから、いつも選手に寄り添い支えてくださった。亡くなったと聞いたときはロッカーでみんなが泣いていた。これからも野球選手として長く続けることが恩返し」

 選手会は球団と話し合い、川村さんに向けたメッセージと写真が入った水色のTシャツを選手、首脳陣らが身につけ、この日の試合前の練習に臨んだ。恩人のためにも、心を一つにしたチームは大一番で圧倒的な強さを見せた。

 コロナ禍に見舞われた選手会長として初めてのシーズン。チームの活動が停止となった時期には選手が自主練習ができるよう球団と話し合うなど奔走した。「僕はやりやすい環境をなるべくつくれればと思って」。医療従事者に感謝の念を示すため福岡県が開設した口座に1千万円を寄付した。母親が看護師。「早く終息に向かうようにできることはやりたい」と願った。

 昨季は自律神経失調症を患った。周囲に「続けていく自信がない」と吐露したこともあった。今季も両膝の痛みなどで開幕には間に合わなかったが、13年目で初めて任された4番だけでなく、さまざまな打順で持ち味を発揮した。苦難を乗り越え、選手会長としてつかんだリーグ優勝。「とにかくほっとしています」。心の底から笑みを浮かべた。

(長浜幸治)

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