鬼は今、どんな姿か?「ネットにうじゃうじゃいる」 (3ページ目)

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 歌人の馬場あき子さんは、鬼についての名著として知られる「鬼の研究」(71年刊)で、「放逐される運命を負った」鬼は「祭りや歌舞の形式の中に埋もれた」と書いた。

 たしかに今、鬼の姿を確認できる場所は、かがり火がたかれた祭事や歌舞の場に限られる。LED照明が常に世の中を照らし、過剰なまでにクリーンになった現代。お互いの顔色を探り、自分自身さえもキャラクター化しながら、他者とのつながりを保ついまどきの人間関係の中で、人は放逐されることを忌避し、逸脱することを恐れがちになる。

 そんな今でも、いやそんな今だから鬼は現れる。取材の際、いみじくも2人が同じ言葉を語った。日本の鬼の交流博物館長の塩見行雄さんは「鬼は時代の変わり目に現れる」と言い、高岡さんは「時代の裂け目に顔を出す」と言った。逸脱した力はそのままに、マイナス面、悪の面だけをもった鬼が大手を振ってばっするときがくることだって考えられる。

 これから現れる鬼は、きっと角もはやしていなければ、こん棒も持たない。赤や青の肌でさえないだろう。見えない存在として、私たち人間に鬼が同化し、あるいは人間が鬼に同化し、そこに現れるのか。その姿に、私たちは気付くことができるのか。それが鬼だと、見分けることができるのだろうか。

 (塚崎謙太郎、小川祥平)

注1 小松和彦氏 1947年生まれ。国際日本文化研究センター所長。専攻は民俗学、文化人類学。信州大助教授、大阪大教授などを歴任し2012年から現職。妖怪、河童などを取りあげた責任編集書「怪異の民俗学」(全8巻)の第4巻は「鬼」をテーマにした。

 注2 日本新聞協会広告コンテスト最優秀賞「ボクのおとうさんは-」 2013年に山﨑博司さん(博報堂)が受賞。コンテストのテーマは「しあわせ」。鬼の下には「一方的な『めでたし、めでたし』を、生まないために。広げよう、あなたがみている世界」とある。14年、東京コピーライターズクラブの最高新人賞も受賞。

 この記事は2015年1月5日付で、文中の年齢、肩書、名称などの情報はすべて掲載当時のものです。

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