地元の熱意と外様の若者 町独自のスイーツ開発 成し遂げた二つの力

西日本新聞 筑豊版 吉川 文敬

 福岡県川崎町は町営リンゴ園で生産されたリンゴを使った焼き菓子「アップルクーヘン」を新たに開発、同町安真木の農産物直売所「De・愛」で販売を始めた。初日の24日は、2時間ほどで売り切れとなるなど好評なスタート。同町では長年、土産になる町独自の加工品開発が進まなかった。打開のきっかけは、田川ゆかりの料理家の熱意と、町外から来た若者の努力だった。

 町観光リンゴ園(0・8ヘクタール、同町安真木)には、つがる、ふじなど4種類845本のリンゴの木を栽培。1割ほどの77本にはオーナー制度があり、年2回収穫することができる。

 昨年11月、オーナーでリンゴ園を訪れた料理研究家山際千津枝さんと原口正弘町長が世間話をした際、その場で原口町長が町産リンゴを使った加工品作りを依頼。山際さんは「母が福智町出身で筑豊には特別な思いがある。喜んで協力したい」と快諾した。

 元町職員の原口町長は「企画課長の頃から挑戦したがうまくいかなかった。加工品の新規開発は町の悲願だった」と話す。まもなく送られてきたアップルクーヘンは、山際さんが数十年前から少しずつ改良してきた自信作だった。試食した原口町長は「これだ」と思ったという。

 開発は、地域おこし協力隊員で飲食店などでの調理経験が豊富な本村泰子さん(29)=北九州市出身=が担当した。本村さんが山際さんのレシピを基に最初に試作したものは「中がパサパサで、売れるものではなかった」と原口町長。

 しっかり焼き目をつけ、リンゴのシャキシャキ感とふんわりした生地の食感を目指した本村さんは、山際さんの元に通うなど試行錯誤を続けた。焼き目をつけると中がパサパサに、食感を重視すると焼き目がつかなかったからだ。

 本村さんは「山際先生にも来ていただき、丁寧に教えていただいたが完全再現に時間がかかった」と話す。オーブンの温度や焼き時間、菓子作りの型の材質なども考慮しながら試作を続け今年5月、完成した。山際さんは「合格点。ただ磨きをかければもっと良くなる。努力家の本村さんを信じている」と期待する。

 アップルクーヘン(直径18センチ、510グラム)が1540円、小分け(70グラム)は290円。このほか、煮詰めてこしたリンゴにレモン果汁を加えたアップルバター(110グラム)590円も販売している。本村さんは「いろんな人たちが町に来てくれるきっかけになったらうれしい」と話す。町農林振興課=0947(72)3000。 (吉川文敬)

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