「コロナが経営に影響」75% 福岡の介護保険施設が苦慮、九産大調査

西日本新聞 くらし面 三宅 大介

 新型コロナウイルスの感染拡大により、福岡県内の介護保険施設の7割強に経営への影響があったことが、九州産業大(福岡市)の調査で分かった。感染症対策としてのプラスアルファの出費だけでなく、サービス提供を担保する人的確保に苦慮した側面がうかがえる。研究室として調査に当たった浅川哲郎教授(商学部)は「医療機関と同様に介護施設にも目配りし、継続的な感染対策支援が不可欠だ」と強調している。

 今年8月、県内の特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、介護医療院の施設管理者に調査票を送付。うち198件の回答があった。

 コロナによる経営の影響が「あった」のは149件(75・3%)。経営のどの部分に発生したか選択制(複数回答可)で聞いたところ、「職員のモチベーション(勤続意欲)」が最も多く107件、次いで「入居者の募集」が101件、「入居者への介護サービス提供」98件-と続いた。

 「その他」の具体的な記述欄で目立ったのは「衛生用品などの購入によるコスト拡大」のような財政面のほか、「職員のストレス」「外来部門の閉鎖」など。自身や入居者が感染しかねない懸念が職員の間に広がり、サービス提供の縮小を迫られた施設も少なくなかったとみられる。

 一方、経営への影響が「なかった」と答えたのは47件(23・7%)。その要因(複数回答可)は「周囲の地域で感染者が発生しなかった」が24件、「感染症に対応する内部のシステムが適切に機能した」が22件だった。その他として「面会制限などを行った」との回答も複数あった。

 今後の運営に際し「感染症予防のほかに留意する点」について聞いたところ、「職員のモチベーション維持」が最も高く、次いで「入居者家族との連携強化」-など。連携を強化したい外部組織としては「保健所などの行政機関」「同業の介護施設」が多かった。感染症対策や十分なサービス維持に当たり、一施設の取り組みだけでは限界を感じていると言えそうだ。

 国や県、市など行政からのコロナ関連支援で「良かった」と考えている施策(自由記述)は、マスクや消毒液といった資材の提供、慰労金や包括補助金など。逆に「悪かった」は、検査態勢の不備、配布の遅れによる資材不足-などが挙がった。

 浅川氏は「介護施設の苦境はまだ続いている。治療法が確立するまでには時間がかかり、マスクや消毒液など医療資材頼みの現状は変わらない。それらの流通を維持する仕組みの検討も必要だ」と指摘している。(編集委員・三宅大介)

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