18歳、少年院での転機「あの時があったから…」 元非行少年の思い

西日本新聞 社会面 一瀬 圭司 久保田 かおり

 18、19歳を現行よりも厳罰化する少年法改正要綱が法相に答申された。大人と同じ刑事手続きを適用する対象を広げる内容で、裁判で有罪となれば「前科」が付き、少年院送致など矯正教育を受ける機会は失われる。18歳の1年間を少年院で過ごした元非行少年は「あの時があったから更生でき、今の僕がある」と振り返る。厳罰化だけが解決策ではない、と言う。

 ひったくり、恐喝、傷害…。「いろんな悪さをやりました」。福岡市の松尾昌人さん(39)が反省を込めて打ち明けた。18歳の誕生日を前にシンナーの取引をした毒劇物法違反の疑いで逮捕された。家庭裁判所は福岡少年院での教育を決定した。

 「なんで俺が」。反省の気持ちはみじんもなかった。法務教官の指導もうっとうしいだけ。「自分は社会に必要ない人間」と思っていたという。

 ただ、自分と向き合う時間は増えたことで徐々に被害者のことを考え、罪の重さを理解できるようになっていった。嫌いだった勉強は小学1年からやり直した。親も面会に来てくれ「見捨てられていない」と感じた。

 9カ月がたったころ、余暇の時間にテレビで知人の活躍を知った。「同年代は社会で頑張っているのに、俺は何をやっているんだ」。夜、布団の中で泣いた。未熟さを認めることができたとき、更生への気持ちがより高まった。

 要綱は18、19歳について、家裁から検察官に送致(逆送)して刑事裁判に委ねる犯罪の範囲を広げ、強盗や強制性交、放火なども対象とした。松尾さんは「被害が重大な性犯罪なども含まれており、理解できる部分はある」としつつ、「僕のように矯正教育を受けて更生のきっかけをもらう人もいる」と話す。

 今年8月に会社を設立し、過去に罪を犯した人たちの悩みを聞く立場にもなった。要綱が起訴後の実名報道を可能とする点も心配だ。「ネット社会でレッテル貼りが横行すれば、就職などさまざまな面で支障がある。『もう人生終わりだ』と再犯に走る人も出てくるのでは」

 実家には色あせた手紙が20通ほど残されている。少年院から家族に宛てたものを母親が保管していた。周囲への感謝や院内での生活がつづられている。「社会に出て、悩んだときに読み返してきた宝物。こんな経験をできる少年も減ってしまうのか」。そうつぶやいた。

(一瀬圭司)

 

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