国会代表質問 選択肢となる「対立軸」を

西日本新聞 オピニオン面

 今国会は菅義偉内閣が発足し初の本格的論戦の舞台だが、同時に政権交代を目指す新たな野党第1党が誕生して臨む国会でもある。建設的な政策論争を通じて有権者の選択肢となる対立軸を明らかにしてほしい。

 首相の所信表明に対する代表質問で、立憲民主党の枝野幸男代表は質問時間の半分近くを使って党の基本的な考え方を説明した。さながら野党党首の「所信表明」である。1年以内に実施される衆院解散・総選挙を意識したのは言うまでもない。

 「まず自分でやってみる自助、家族や地域の共助、そして政府のセーフティーネット(安全網)で守る公助」を理念に掲げる首相に対し、枝野氏は「自助・共助・公助を順番に並べる考えは昭和の成功体験にとらわれて時代遅れ」と批判した。

 その上で「目先の効率性だけを追い求めず、政治が責任を持って支え合いの役割を果たす共生社会の実現を目指す」と主張した。「まず自助」という政権側に「共生社会」を対置させた格好だが、問われるのは具体論であり現実的な道筋だろう。

 首相が所信表明で打ち出した「2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする」との政策目標を、枝野氏は評価しつつ「そのために原発への依存を強めることがあってはならない」とくぎを刺した。環境問題と原発を含むエネルギー政策は総選挙の重要な争点となる。与野党を問わず競い合ってほしい。

 政権を監視する立場から、枝野氏が日本学術会議の任命拒否問題を取り上げたのは当然だ。学術会議の「推薦に基づいて首相が任命する」と定めた日本学術会議法に違反する-と追及したが、首相は「必ず推薦通りに任命しなければならないわけではない」と突っぱねた。きのうの参院代表質問でも法解釈の変更を否定し「一貫した政府の考え方だ」と繰り返した。

 また、首相は「会員の出身や大学に偏りがある」として「多様性を念頭に判断した」とも答弁したが、推薦リストの全体を「見ていない」のになぜ「多様性」を判断できるのか。疑問は膨らむばかりだ。納得のいく拒否理由の説明を求めたい。

 枝野氏は代表質問で「立憲主義に基づく透明でまっとうな政治を取り戻す」と誓った。野党勢力の合流で衆参計150人の規模を整え、政権交代への足がかりはできたと言えよう。

 とはいえ、共同通信社の世論調査(17、18日実施)によれば立民の支持率は6・4%で自民の45・8%に遠く及ばない。この現実を率直に受け止め、国会論戦で存在感を発揮するとともに、いずれ国民に問う理念と政策を磨き上げてもらいたい。

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