回復したように見えても「死戦期呼吸」…措置続け救命の2男性に感謝状

西日本新聞 筑豊版 長 美咲

 飯塚消防署は28日、勤務中に倒れて心肺停止となった40代の男性に対して迅速な救命措置を行い、その後の社会復帰につなげたとして、同僚の井上弘太郎さん(41)=福岡市東区=と篠原憂さん(32)=飯塚市伊岐須=を表彰した。

 井上さんらによると、男性は同市大分の工場で6月4日、突然倒れて動かなくなった。駆けつけた井上さんは、呼吸が停止していることを確認。「瞳孔も開いた異常な様子」だったという。井上さんは気道を確保し、篠原さんに胸骨圧迫を指示した。2人とも救命措置の詳しい知識はなかったが「何とかしなければと、無我夢中だった」。

 途中、男性が顎を動かしてうなるような声を出し、呼吸が回復したように見える場面もあったが、2人は措置を継続したという。同署桂川分署救急隊の石田健さんによると、「『死戦期呼吸』と呼ばれる心停止時に起きる現象で、回復したと思って措置を止めてしまう人も多い。措置を続けたことが救命につながった」と指摘する。その後、男性は病院搬送中に会話ができる状態に。後遺症もなく約2週間後に退院し、8月には職場復帰したという。

 同分署であった表彰式で藤川伸之飯塚消防署長は、管内では年間9千件以上の救助事案があるが、心肺停止の救助者が完全に社会復帰を遂げるのは数件と説明。「適切な処置が救命や社会復帰につながった」と謝意を述べた。

 井上さんは「社員を助けたのは当然という感覚だが、表彰はうれしく思う」。篠原さんは「何もしないより、やった方がいいということが分かった。また同じようなことがあれば他の人にも措置をしたい」と話した。今回の事案を受け、現場の事業所には自動体外式除細動器(AED)を設置し、社員全員で救命講習を受けたという。 (長美咲)

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