「新人監督の発掘果たせた」 釜山映画祭、コロナ下で存在感示す

西日本新聞 国際面 金田 達依

 【釜山・金田達依】アジア最大級の映画祭「釜山国際映画祭」が30日閉幕した。韓国では8月以降、新型コロナウイルスの感染が再び広がり、中止も検討されたが「良質な映画を発信する場をなくしてはいけない」と関係者が対策に奔走、何とか開催にこぎ着けた。世界各地の映画祭が相次いで中止となる中、作品発表の貴重な機会となった。

 「今年も素晴らしい作品を発掘、紹介することができた」。映画祭事務局の担当者は胸をなで下ろした。韓国政府が防疫対策として室内で50人以上の集まりを禁止するなどしたため、上映会場を昨年の6カ所から1カ所に減らし、使用する客席も全体の25%に限定。開幕・閉幕式は取りやめ、監督や出演者がレッドカーペットを歩いて会場入りする催しも中止した。

 新型コロナ禍が収まらない中、事務局は開幕日を当初予定の10月7日から21日に延期した。10月に入るとようやく感染者数が減少し、政府が12日に防疫対策を緩和。映画祭開催が確定したのは開幕9日前だった。

 今年の上映作品は、例年より約100少ない68カ国・地域の192作品にとどまった。それでも、事実上開催が見送られたカンヌ国際映画祭(フランス)で発表予定だった23作品を上映。新人監督の作品も多数紹介し「新たな才能の発掘に一定の役割を果たした」と事務局は胸を張る。自身初の長編アニメ「ジョゼと虎と魚たち」が映画祭の閉幕作となったタムラコータロー監督は「早い段階で作品公開の機会をもらえ、非常に幸運だった」と語り、映画祭開催に謝意を示した。

 ドラマや漫画などの商談の場となる「アジアコンテンツ&フィルムマーケット」もオンラインで開催。新型コロナ禍を自宅で過ごす人が増える中、文化コンテンツの需要は高まっており、活発な取引が行われたもようだ。

 釜山国際映画祭は1996年以降毎年開催し、今年が25回目。会場を訪れた釜山市の女性は「世界でも有名な映画祭は市民の誇り。規模を縮小してでも開催できて良かった」と話した。

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