「あんぱんジャムパンクリームパン」 青山ゆみこ、牟田都子、村井理子著

西日本新聞 佐々木 直樹

 人類は昔から危機が迫ると狭いところで身を寄せ合い、励まし合って乗り越えてきた。戦時中や災害時もしかり。今回のコロナ禍では3密が問題視されて集えなくなったが、それでも誰かと語る効果は健在だと、この本を読んで実感した。

 同書は編集者、校正者、翻訳家という本に携わる職業の女性3人が、コロナ禍で一変した暮らしの苦労や戸惑いなどを往復書簡形式でつづったエッセー集だ。各自が日々の中で生じたモヤモヤを文章上で語り、的確な言葉で輪郭をつけていていく様は、さすが言葉を扱うプロだなとうなった。

 誰かと話して思考を整理することが、目に見えない不安と向き合う力の一つになり得る。冬には再び感染が広がるかもしれない。不安で途方に暮れて誰かと語りたくなったら、手軽なオンラインに頼らず、熟考して書く手紙も選択肢に入れようかと思わせてくれた。 (佐々木直樹)

「あんぱんジャムパンクリームパン」青山ゆみこ、牟田都子、村井理子著(亜紀書房・1430円)

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