「すこぶる調子がいい」安倍氏“復権”の先に見据えるのは…

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 安倍晋三前首相は1日、退任後初めて地元・山口県に入り、父晋太郎氏の墓前に手を合わせた。持病の悪化に伴う無念の退陣表明から約2カ月。支援者の歓迎を受け、取り囲む報道陣を前に「今後は一議員として、地域の発展のために尽くしていきたい」。史上最長政権を築いた者として“復権”の先に見据えるのは何か。

 「総理の職責を果たすために全力を尽くし、今回、辞職しましたという報告をいたしました」

 午後、同県長門市で墓参を終えた安倍氏は、力強い口調で報道陣に復調ぶりを示した。その後は、近くの市役所支所など4カ所をはしごし、集まった支援者に「おかげで薬も効いて体調も早く回復している」。笑みをたたえ、一人一人と言葉を交わした。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、昨夏の盆以来となった帰郷。常々、「地元に帰れば元気になる」と語ってきただけに、花束も受け取って心身を充電した様子がうかがえた。

 「すこぶる調子がいい。辞めたのがうそみたい」。安倍氏の出身派閥・細田派の幹部は、最近の安倍氏に目を見張る。所属議員の政治資金パーティーに連日駆け付けてマイクを握り、夜の会合にも出席。アルコールも口にする。

 派内では、派閥復帰と会長就任を望む声が一段と高まり、安倍氏も周囲に「(来秋までに行われる)総選挙の前後を考えている」と、その時期に言及し始めた。「ここで終わるつもりはさらさらない、ということだ」と自民党関係者。院政を敷き存分に影響力を振るうキングメーカーか、「(首相)再々登板」への布石か。永田町では、近い将来の「安倍派」発足をどう読み解くかの推論がかまびすしい。

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 安倍氏と親密な閣僚経験者はあるエピソードを基に、菅義偉首相体制の下でもキーマンであり続けていると指摘する。今後の最大焦点である衆院解散時期について安倍氏が最近、「私だったら、来年1月の通常国会冒頭だ」と持論を開陳したというのだ。

 内閣と党の支持率がともに高い時期を逃さず衆院選を仕掛け、野党を圧倒し、その流れで来秋の総裁選も制する-。この側近は「(政局の)相談を受ければ指南するのが安倍さん」。実際、首相は今も安倍氏と密に連絡を取り、外交の報告も欠かさないという。

 この日、在任中に念願成就できなかった憲法改正についても、安倍氏は「(安倍政権の間は議論しないとの)野党の言い訳はもう通用しない。より一層(議論の)機運を高めていくために、私も努力していきたい」と踏み込んだ。再始動のエンジンが全開になるのも遠くなさそうだ。 (河合仁志)

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