「活字とは違った迫力を…

西日本新聞 社会面 伊藤 完司

 「活字とは違った迫力を感じてほしい」。北九州市の松本清張記念館で代表作「点と線」の直筆原稿を一挙に公開する企画展が開催中という本紙地方版の記事に興味を引かれ、記念館に足を運んだ。

 市販の原稿用紙に大ぶりで読みやすい字が並ぶ。続編の「時間の習俗」にも登場する福岡署の刑事の名前は「妹尾」と書いた後、二重線で消し、「鳥飼」としている。随所に推敲(すいこう)の跡が見られる。

 社会派推理小説の創始者とされる清張だが、1957年に旅雑誌で「点と線」の連載を始めたとき、長編推理小説は初挑戦だったとか。そのせいか筆は遅く、原稿を待つ編集者たちの間で「清張待ち」という言葉が生まれたという逸話が伝わっているという。

 黄ばんだ原稿用紙を眺めていると、生涯に約千編の作品を残した大作家が、悪戦苦闘する姿が目に浮かぶ気がした。企画展は来年1月11日まで展示内容を入れ替えながら開かれている。 (伊藤完司)

PR

デスク日記 アクセスランキング

PR

注目のテーマ