元中国大使、宮本雄二さんに瑞宝重光章 秋の叙勲、九州から484人

西日本新聞 社会面 河合 仁志

 政府は3日付で、2020年秋の叙勲受章者4100人を発表した。うち女性は過去最多だった今年春と同じく412人、九州の受章者は484人。発令は3日。新型コロナウイルス感染症予防のため、大綬章と重光章を除く受章者の皇居での拝謁(はいえつ)は、春に続いて中止する。

 旭日大綬章には、元沖縄県知事で九州経済連合会副会長も務めた仲井真弘多(ひろかず)さん(81)、元内閣官房副長官の滝野欣弥さん(73)、トヨタ自動車会長の内山田竹志さん(74)ら6人が選ばれた。瑞宝大綬章は、元東京大学長の小宮山宏さん(75)が受章した。

 小泉純一郎元首相の秘書官を務め、現在、内閣官房参与の飯島勲さん(75)は旭日重光章。九州関連では産業振興功労として、元全国農業協同組合連合会会長の中野吉実さん(72)=佐賀市=に旭日重光章。外交功労として、元中国大使で宮本アジア研究所代表の宮本雄二さん(74)=福岡県太宰府市出身=に瑞宝重光章が贈られた。

 芸術文化の分野では、テレビドラマと映画の「あぶない刑事」シリーズが代表作の俳優、舘ひろしさん(70)、ハードボイルド作品や「水滸伝」などの歴史大作で知られる作家の北方謙三さん(73)=佐賀県唐津市出身=が、旭日小綬章を受けた。産業振興の分野では、北九州市若松区の家具の輸入販売業「不二貿易」会長、田坂良昭さん(89)に旭日単光章。伝統工芸業務功労として、60年以上にわたり、鹿児島県特産の大島紬(つむぎ)を織る鹿児島市の東登百江(ともえ)さん(79)が瑞宝単光章に選ばれた。

 外国人叙勲は60カ国・地域の141人(うち女性24人)。米国のダンフォード元統合参謀本部議長(64)、ユンケル元欧州連合(EU)欧州委員長(65)ら7人が旭日大綬章となった。

日中交流新時代の懸け橋に

 瑞宝重光章受章の連絡を受け、最初に頭に浮かんだのはふるさと・太宰府への感謝だった。「育ててくれたまちを代表してお受けする。そう理解するのが一番、胸に落ちる」。同時に、国や職種を超えて使命感を共有しながら働いてきた仲間たちの顔を思い描いた。

 福岡県立修猷館高から進んだ京都大1年の時、父が亡くなり、兄の支援を受けながら目標を探した。高度成長期のまっただ中。地方の一般家庭出身者から見て、外務省の敷居は高かったが、恩師の「あの役所は、そんなこと全く気にしないんだ」との言葉が背中を押してくれた。

 外務官僚人生40年。その半分を「中国と付き合ってきた」と振り返る。

 最初の赴任は1981年。北京の紫禁城に立ち、悠久の歴史から来る不思議な感覚にとらわれた。97年からは、大使館ナンバー2の公使として中南海の要人と接した。小泉純一郎元首相の靖国神社参拝などで関係が冷え込んでいた2006年、「中国通」の人脈を見込まれ大使に就任。4年半にわたり「目に見えて急速に経済発展を遂げる大国と向き合い、つぶさに観察した」。

 02年から04年に大使を務めたミャンマーも忘れられない。亡き母に国名を伝えると、親戚や郷土の先輩の氏名を聞かされた。「みんな、ビルマ(現在のミャンマー)で亡くなったんだよ」。着任し、太平洋戦争の激戦地だった各地を慰霊に訪れ、遺骨収集などに携わった。

 10年に退官した後は、宮本アジア研究所を母体に日中両国民の草の根の交流活動を推進。本紙の大型コラム「提論 明日へ」の筆者も今年3月まで務めた。

 「米中対立の時代に、日本が中国とどう折り合いをつけていくか。長期的な視野に立って真剣に考え、社会に発信していく人が必要だ」。昨年、福田康夫元首相を会長に頂く一般財団法人「日本アジア共同体文化協力機構」を、新たに立ち上げた。アジア圏の文化連携に力を尽くし、懸け橋となる決意は一層強まっている。

(河合仁志)

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