筑豊最大級炭鉱の隆盛 作兵衛作品で学ぶ 「レールアーチ枠」初公開

西日本新聞 筑豊版 吉川 文敬

 福岡県筑豊炭田最大級の炭鉱で、1964年に閉山した「三井田川鉱業所」の隆盛を、炭坑絵師・山本作兵衛の絵や史料を元に振り返る企画展「三井田川鉱業所と地域社会」が、市石炭・歴史博物館で開催されている。初公開となる作兵衛の作品「レールアーチ枠」を含む28点が、23日まで展示される。

 同鉱業所は1900年、三井鉱山が田川採炭組を買収したことに始まる。第1次世界大戦前後からの石炭産業興隆期に、積極的な機械化を推進したことで知られる。

 同展では、作兵衛の絵画を中心に、三井による買収前後で構内の機械化が格段に進んだ状況などを紹介。蒸気や電気を使った多種多様な大型機械について説明している。初展示の「レールアーチ枠」は戦前、木材が主流だった構内支柱に鉄を使い、アーチ形とするなど同鉱業所の安全性への配慮を示す史料として展示する。

 三井鉱山は戦前、技術者を養成する学校や小学校もつくり、従業員の子どもたちは、特別に師範学校卒の教員が教えていたという。元市長の滝井義高氏の回想録などによると、同鉱業所の本部は街を見下ろす高台にあり、市役所よりも格上の存在だったという。

 また、当時は珍しかった大卒出の幹部職員たちが東京から絵画や音楽、合唱などの文化をもたらした。特にJR田川後藤寺駅近くにあった幹部たちの社交場「百円坂倶楽部」は、森鴎外が投宿し、著名な洋画家も訪れるなど文化人のサロンとなっていた。

 同館は「同鉱業所が田川に与えた文化的な衝撃、今も残る影響について考える機会にしてほしい」と話す。14日と23日、学芸員と「三井伊田坑跡」を巡るイベントもある。予約が必要。一般400円、高校生100円、小中学生50円。月曜休館。同館=0947(44)5745。 (吉川文敬)

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