「地域に還元できる作品を」4氏が西日本文化賞受章

西日本新聞 一面社会面 川口 史帆 諏訪部 真

 地域文化の発展に尽力した九州ゆかりの個人や団体を西日本新聞社が顕彰する第79回西日本文化賞の贈呈式が3日、福岡市・天神のエルガーラホールであった。

 受賞者は学術文化部門が九州大応用力学研究所教授の磯辺篤彦さん(56)=福岡県春日市、社会文化部門が福岡アジア美術館初代館長の安永幸一さん(81)=福岡市。若手・中堅が対象の奨励賞は学術文化部門に九州大工学研究院教授の辻健さん(41)=同、社会文化部門に漫画家の高浜寛(かん)さん(43)=熊本県天草市。

 磯辺さんは海を汚染するマイクロプラスチックの実態調査と具体的な増加予測で、世界に警鐘を鳴らした。安永さんは美術館の新設や、アジア現代美術の収集・普及に尽力した。奨励賞の辻さんは地球の内部構造を調べる新しい探査手法を生み出し、防災分野にも応用した。高浜さんは明治初期の長崎を舞台にした「ニュクスの角灯(ランタン)」で、第24回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞した。西日本新聞社の柴田建哉社長は「それぞれの分野で『今』という時代と向き合い、たゆまぬ努力で業績を挙げられた」と4人をたたえた。 

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 3日に福岡市で開かれた第79回西日本文化賞の贈呈式では、受賞の4氏があいさつし、地域社会や世界の将来に貢献したいと挑戦し続ける姿を示した。

 熊本県天草市で執筆を続ける漫画家の高浜寛(かん)さん(43)は「地域の皆さんに還元できる作品を描きたい」との思いから、九州全県を舞台にした新作を準備中だと明かした。漫画は芸術としての評価が高まっており「地域のため、日本のために描きたい」と誓った。

 福岡アジア美術館元館長の安永幸一さん(81)は40年以上前から、アジア現代美術の紹介に努めてきた。初の展覧会開催のため訪れたインドでは、体重が6キロ減るほど難題に直面しながら「何とか根付かせたいと頑張ってきた」。その仕事は企画展「アジア美術展」として定着し、福岡アジア美術館開設にもつながった。

 この日が母の命日だという九州大教授の辻健さん(41)は、家族や同僚に思いをはせた。調査で家を離れることも多く「家族に感謝したい」と述べた。共同研究者や事務員にも謝意を表し、地球環境保護や防災のためにも活用できる自身の研究を「謙虚な姿勢で進めたい」と語った。

 九州大教授の磯辺篤彦さん(56)は「成果をどうやって社会に届けるか模索してきた」と強調した。7月に出した著書「海洋プラスチックごみ問題の真実」では問題を平易に解説するよう努めた。「より良い情報を通して世の中に貢献していきたい」と意気込んだ。 (川口史帆、諏訪部真)

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