私の手元には、九州大の…

西日本新聞 社会面 野村 大輔

 私の手元には、九州大の石野良純教授(63)にもらった33年前の研究論文がある。内容は大腸菌のDNAの解析結果。この成果を基に、遺伝子を狙い通りに改変するゲノム編集の新技術「クリスパー・キャス9」を開発した欧米の研究者2人が、今年のノーベル化学賞に選ばれた。石野氏は功績をたたえられ、研究者仲間から「ミスター・クリスパー」と呼ばれている。

 4年前の化学賞は、ナノテクノロジー(超微細技術)の一種「分子機械」の開発に貢献した欧米の研究者3人に贈られたが、この分野の先駆者は九州大の新海征治特別主幹教授(76)。「ファーストワンではなく、ベストワンが選ばれたのでしょう」。当時、すがすがしい表情で取材に答えた新海氏が印象に残った。

 九州大の2人が切り開いた道は、ノーベル賞の研究成果に勝るとも劣らない。黄ばんだ石野氏の論文。だが新技術の“端緒”となったそれは、色あせない。 (野村大輔)

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