「エロは絶対につぶれない」18禁自販機、盛衰と共に…51歳見届け人

西日本新聞 社会面 御厨 尚陽

NICHE-MEN(ニッチメン)-オレの仕事、アウトですか?<1>

 高速道のインターチェンジに近い福岡、熊本の県境。雑木林に囲まれたプレハブ小屋が、県道脇にぽつんと立っている。小屋の中にはDVDやグッズなど“18禁”のアダルト商品を売る自動販売機が4台並ぶ。鍵束を取り出した浩介(51)=仮名=は、自販機を手際よく一台一台開けていく。この日の売り上げはたった4千円。「売れねぇなぁ」。深いため息が漏れた。

 年間6億円稼いで、高級シャンパンを毎晩浴びるように飲み、振る舞った。浩介の記憶は、幻じゃない。

 業界に足を踏み入れたのは1991年、高校卒業して間もない頃だった。父親のつてでアダルト自販機の集金のバイトをしたところ、紙幣で満杯になった台が至る所にあった。「補充してもすぐ売り切れて、1日で40万円稼いだ台もあった。エロは絶対につぶれないと思った」と振り返る。

 貯金をはたき自販機をそろえ、茨城県を皮切りに約30道県に事業を拡大した。最盛期は従業員約20人、年間売り上げは最大6億円にも上った。20代で故郷の千葉県に家を建て、妻子と暮らした。高級車を乗り回し、財布には常に100万円以上。「キャバクラで待機中のお姉ちゃんにもシャンパンを飲ませて、1日80万円使っていた。てんぐになり、友人も離れていった」

 一方、90年代後半には、未成年への影響を懸念する声が高まり、アダルト自販機を規制する条例が各地で整備された。浩介はたびたび警察の家宅捜索を受け、青少年健全育成条例違反などの容疑で計4回逮捕された。「会社だけでなく、自宅の子ども部屋まで調べられた。近所の目もあるし、家族はたまったもんじゃなかった」。2005年ごろに離婚し、全国を転々とした。

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