「エロは絶対につぶれない」18禁自販機、盛衰と共に…51歳見届け人 (3ページ目)

西日本新聞 社会面 御厨 尚陽

【記者ノート】

 アダルト自動販売機を利用した経験もなく、業界の人脈もない私。インターネットで検索しても連絡先なんてどこにも載っていない。「どうやって取材すればいいんだろう」。悩んだ末に、業者が現れるまで現場に張り込んで突撃取材することにした。

 車を走らせて熊本県内のプレハブ小屋に到着すると、たまたま浩介(51)=仮名=が自販機の集金作業をしていた。取材を申し込もうとして近づくと、開口一番にこう聞かれた。「ひょっとして警察ですか?」

 業界への風当たりは強い。アダルト雑誌の自販機が登場したのは1970年代半ば。書店販売と違って問屋を通さない分、利益率が高く、全国に広がり、後にビデオなども扱うようになった。一方、日本PTA全国協議会は80年代にアダルト自販機の販売規制を求める活動を展開し、90年代には各自治体が条例を整備した。旗色は悪くなるばかりだったが、業界も運転免許証による年齢識別装置を導入し、自主規制を図った。

 「未成年でもネットでアダルト動画を見られるし、そんなに悪いことなんだろうか」と浩介は首をかしげる。青少年健全育成条例違反などの容疑での逮捕歴は4回に上り、6年前に留置場で22日間過ごした時はつらくて、全身にじんましんが出たそうだ。

 それなのに「人生をやり直せるとしても、再びこの業界を選ぶね」と言い切る。「自販機って人件費かかんないし、文句も言わずにずっと動いてくれる」。自販機の寿命は10年と言われるが、浩介の愛機はまめにメンテナンスされ、稼働から20年たつ今も立派な現役だ。

 「アダルト自販機の最期は、そのうちに訪れる。それでも俺にはこれしかない。最後まで見届ける」。そう自らに言い聞かせた。 (御厨尚陽)

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