授業再開、涙の卒業式 教頭が描いた被爆後の児童24点 小冊子制作

西日本新聞 長崎・佐世保版 西田 昌矢

 原爆の被害に遭った長崎市立城山小(旧城山国民学校)の卒業生らでつくる「城山小原爆殉難者慰霊会」(本田魂会長)は原爆投下後の子どもたちや学校の様子を描いた絵を紹介する小冊子300冊を制作した。焼け跡で再開した授業、涙で迎えた卒業式-。一枚一枚が惨禍の中を生きた子どもたちの暮らしを伝える。

 旧城山国民学校は爆心地から約500メートル。原爆によって児童や職員約1400人が犠牲になった。絵を残したのは原爆投下時に教頭だった荒川秀男さん(1904~91)。57年に校長になり、その後の城山小で受け継がれた平和教育の礎をつくった、とされる。

 同会は被爆75年に合わせ、東京や北九州など県外4カ所で荒川さんの作品展覧会を予定していたが、新型コロナウイルスで中止。代わりに展示予定だった24点を冊子にまとめた。絵は焼け跡での学校再開から翌年の卒業式までを描く。

≪11月14日授業を再開≫

 被爆後、子どもたちを心配した教師が「八幡神社に集まりましょう」と校区に張り紙をし、子どもたちを集めた。描かれた子どもは痩せ、原爆症で髪が抜け、風呂敷で頭を隠している子もいたという。

≪涙の卒業式≫

 約250人を送り出すはずだった翌年の卒業式。巣立ったのはたった14人だった。「原爆で亡くなられた友、先生、おうちの人のことを考えましょう」。荒川さんの言葉に参加したみんなが涙した。

 被爆から75年、当時を知る人はもう少ない。本田会長は「75年前があるから、今がある。悲惨な出来事を忘れないよう手に取ってほしい」と呼び掛ける。

 小冊子は市内の小学校などに配布される。

 (西田昌矢)

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