外国人客消えた門司港 平日の集客どうする? 北九州市議選の課題に

西日本新聞 北九州版 白波 宏野 姫野 一陽

 来年1月31日投開票の北九州市議選では、新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けた観光産業の支援が争点の一つだ。市内有数の観光地、門司港地区(門司区)は最近にぎわいを見せているが、訪日外国人客(インバウンド)の消滅は深い影を落としている。若手記者2人が観光の街を歩き、有権者の声に耳を傾けた。

 快晴の空の下、日曜日の門司港は観光客でごった返していた。

 1日昼、門司港レトロ地区では、広場で恒例の雑貨市が開かれ、海沿いの通りにはイカ焼きや地ビールなどの露店がいくつも並んだ。近くの駐車場は軒並み満車で、車を止めるのにも一苦労した。

 関門海峡を臨む地上31階の「レトロ展望室」の受付には長い列。施設スタッフは「最近では一番の人出かも」と表情を緩めた。

 市内の観光地には観光客が戻りつつある。国の観光支援策「Go To トラベル」を利用する人や修学旅行客が増えたことに加えて、10月7日にスタートした市独自の観光支援策「魅力再発見パスポート」も人の流れを生み出す。

 市民限定のパスポートは400円(大人)で購入すると、市内七つの観光施設が来年3月14日まで使い放題。対象施設の皿倉山ケーブルカー・スロープカーの往復料金は1230円(同)、関門海峡ミュージアムの入場料は500円(同)でパスポートは破格の値段設定。対象施設の利用者は軒並み増加し、門司港レトロ観光列車と小倉城庭園は前年同期を上回っている。

 政府の緊急事態宣言が出された4月以降、門司港地区の観光は壊滅的打撃を受けた。市の委託を受け観光施設を管理する「B&A門司港」の調査では、同地区の駐車場を利用した国内観光の大型バスは5、6月はゼロだったが、9月は前年同期比13・9%となり、10月以降も回復傾向は続く。

 一方で、タクシー運転手の男性は「観光客がいるのは休日だけだからね」。飲食店経営者は「売り上げは5割減のままだ」と嘆く。

 B&A門司港によると、コロナ前までは同地区の団体客のおよそ6割が外国人。外国人客は休日か平日かを問わずやってきた。業態によって影響はさまざまだが、多くの店で平日の売り上げが減少している。

 人気だったビアレストラン「門司港地ビール工房」は8月に閉店して区外に移転、関門海峡プラザ内の和食店も店を閉じた。地元の住民は「いい店が次々になくなっていく」と戸惑いを隠せない。

 B&A門司港の西川雅志事務局長は「平日にどう集客するかが課題。時間の余裕があるシニア層への誘致を強化するなど対策が必要だ」と強調する。

 今回の市議選で門司区(定数6)では新人を含めて9人が立候補の意向を示している。立候補予定者の街頭演説を聞き、有権者に配るチラシを見ていると、公的施設の整備や福祉の充実などの訴えが中心で、門司港の観光をどう支えるかは脇に追いやられがちだ。商店主や飲食店主に話を聞いて回ったが、「市議が観光のことを真剣に考えているとは思えない」「何も期待していない」と、不満を漏らす人が多かった。

 前例のないコロナ禍による苦境で、立候補予定者には厳しい目が向けられている。レトロ地区で飲食店を経営する40代の男性は「本当に私たちと向き合ってくれるのは誰なのか。見極めて投票しないと、何も変わらない」と言い切った。 (白波宏野、姫野一陽)

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【ワードBOX】北九州の観光

 北九州市観光動態調査によると、市内の2019年の観光客数は約2421万人で前年比4・4%増だった。ただ、15年の約2571万人からは約6%減少しており、観光振興は新型コロナウイルス感染拡大以前から課題だった。19年の地区別では小倉都心地区が約651万人で最も多く、次が門司港地区の約244万人。外国人観光客数は、15年の約25万人から、18年は約69万人と約2・7倍に増えたが、19年は日韓関係の悪化などにより55万6千人に落ち込んでいた。

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