財布の中でかさばるカード類をデジタル化(KINCHAKU、福岡市)

西日本新聞 九州経済面 仲山 美葵

スタートアップ名鑑

 財布の中でかさばるカード類をどうにかしたい-。「KINCHAKU(キンチャク)」はそんな日常の不満から生まれたサービスだ。世界中で多くの人に使われている既存のアプリ内で、店や事業者がスタンプカード、チケット、会員証などさまざまな「パス」を発行し集客に活用できる。コロナ禍で物のやりとりを避ける動きが広がる中、急速に利用が広がっている。

 キンチャクは、非接触で決済できる米アップルグーグルのアプリ「アップルウォレット」と「グーグルペイ」の中にパスを発行できる。

 店はキンチャクに登録後、管理画面で発行したいパスの種類などを決め、パス固有のQRコードやURLを作成し、客に知らせる。客がスマホで読み込むとアプリにパスが追加される。利用する際はパスの画面を提示し、店のスマホで読み取ってもらう仕組みだ。

 サービスを開発、運営するキンチャク(福岡市)の代表取締役、新宮ドミ氏(39)は「こうしたパスを発行できるクラウド型のサービスは日本初」と言う。独自のアプリやシステムを持たない小規模店でもパスの発行、処理、解析という一連の流れが完結でき、「パスを中心としたマーケティングができる」。

 発行できるパスは、スタンプカード、割引券、引換券、イベントチケット、会員証、定期券など。会員制交流サイト(SNS)の「インスタグラム」で販売もできる。店側は手数料や決済手数料がかかるが、スタンプカードや割引券は無料。再来店を促す通知を送ったり、パスの利用状況を確認したり、客の属性や利用頻度に応じて割引券を発行したりもできる。

 新宮氏は、ウズベキスタン出身で2004年に来日。大阪の専門学校で学び、東京のIT企業などで開発やマネジメントの能力を身に付け、福岡市で起業した。現在は日本国籍を取得し、社員11人や海外の個人事業者などと事業を進める。

 キンチャクは19年8月に正式に運用を始めた。当初は福岡市の飲食店などに売り込んでいたが、コロナ下で東京など広範囲に拡大。パスの発行件数は今年6月から急増し、10月は単月で約7千件となった。10月末時点で約390店が導入し、21年6月には1500店に広げる目標を掲げる。

 今後は機能拡充に加え、東南アジアでの展開も視野に入れる。新宮氏は「地道に泥くさくやっていきたい」と話す。 (仲山美葵)

 【KINCHAKU】「福岡は日本のシリコンバレー」という触れ込みに引かれ、福岡市で2018年に設立。今年4月、サービス名に合わせて社名を「KINCHAKU」に変えた。

 =随時掲載

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