士族救った授産会社「赤松社」の木版画 久留米商議所に寄贈

西日本新聞 筑後版 野村 大輔

 明治期の久留米で困窮する士族を救うために設立された授産会社「赤松社」を描いた木版画が5日、福岡県久留米市の久留米商工会議所に寄贈された。市内の高田昭三さん(92)が所有していたもので、約140年前の活気あふれる店舗の様子が色鮮やかに表現されている。高田さんは「久留米の商工史の資料として役立ててもらいたい」と話す。

 明治維新後、久留米藩士は士族となったが、職を失って困窮する者もいた。こうした士族を救済するため、1880(明治13)年、旧藩主の有馬頼咸(よりしげ)が基金を提供。士族たちは83(明治16)年、基金を元手に赤松社を立ち上げ、久留米絣(かすり)などの製造販売を始めた。

 木版画(縦34センチ、横50センチ)に描かれたのは「赤松西店」。石炭油(石油)や板ガラスを店頭販売する様子で、商売の活気が画面からにじみ出ている。鑑定の結果、2代目長谷川貞信が明治10年代に制作したと推定されたという。

 赤松西店の支配人を務めた高田善次は、昭三さんの曽祖父に当たる。昭三さんは1935(昭和10)年頃、久留米市内の老舗書店から木版画を譲り受け、自宅に飾っていた。「曽祖父は廃刀令で刀を奪われ、悲しんだそうだ」と昭三さん。木版画は、新時代に適応しようと、必死に生きる士族の姿を後世に伝える。

 赤松社の初代社長の三谷有信と2代目社長の林田守隆は、それぞれ久留米商議所の第3代、第4代の会頭を務めた。こうした縁で、昭三さんは木版画の寄贈を決めた。商議所の本村康人会頭は「侍が商人になったことを象徴する作品。市民にも見てもらいたい」と話している。 (野村大輔)

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