「これだけ貢献しているのに…」不遇解消されない“エッセンシャルワーカー”の窮状

西日本新聞 オピニオン面 竹次 稔

 「Yahoo!ニュース」のコメント欄は医療・福祉関係者の不満の声があふれている。「外出自粛が求められており、Go To トラベルの恩恵もありません。感染対策に気を使い、ストレスがたまる生活は続いています」

 コロナ禍で医療と福祉の働き手をねぎらう国の慰労金交付は8月ごろに始まった。ところが、いまだに受け取れていない関係者が多い。その記事を10月末に配信した。代理申請する病院は事務負担を嫌い、清掃などの受託業者は病院側に遠慮して申請しないことなどが背景にあるようだ。

 本紙「あなたの特命取材班」にも無料通信アプリLINE(ライン)などを通じて慰労金制度に対する疑問の声が当事者から届く。

 「事務職だけど、病棟内を移動し、患者との接点もあるのに大学病院から対象外とされた」「なぜ、調剤薬局や血液センターは対象外なの」「医療法人の福祉部門に勤務していて、患者の検温担当も回ってきたが、ほかの職員より支給額が低かった」

 当事者に、背景を詳しく教えてほしいと返信すると、電話をかけてくれた方もいた。

 医療現場の大変さを訴える投稿は窮状を「地獄」に例える。最前線で働いているのに賞与はカットされ、世の中からはばい菌扱いされる。「世間では活動範囲が広がっているが、病院関係者は自粛を強要されています。これだけ貢献しているのに…」。心理的負担の大きさが想像できる。

 障害者施設の関係者には直接、話を聞いた。「ソフトバンクホークスの優勝セールで街に人だかりができていて、びっくりした。自粛ばかりだと精神面がおかしくなる。最近は『出掛けてください』と職員に伝えています」

 積み重なる現場の不満が多くの投稿を促している。せめて慰労金を漏れなく受け取れるようにしてあげたい。申請窓口の医療機関などはスタッフに十分な配慮を。厚生労働省はこれらの指導と同時に、支給基準を柔軟に運用できるように検討してほしい。

 疲弊した旅行・飲食業界などを支える「Go To」事業などの経済再生策を政府は推し進める。支援したいという市民の思いもあるのだろう、積極的な利用も目立つ。

 一方、暮らしを支える「エッセンシャルワーカー」の不遇は依然、解消されないままだ。長丁場となりそうな感染対策を続けるには不可欠な人たちに、目を向けたい。(竹次稔)

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 ▼たけつぐ・みのる 北海道出身。専門紙を経て2004年入社。経済部、東京報道部、社会部、釜山駐在、北九州編集部を経てクロスメディア報道部デスク。

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