「旅ごころはリュートに乗って」 星野博美著

西日本新聞 平原 奈央子

 天正遣欧使節が弾いたという中世西洋の楽器、リュート。キリシタンの時代を知る手がかりとして、その音色を追体験しようとリュートを習い始めた著者が、地道な練習の日々をつづり、曲の時代背景を探り、ゆかりの地を訪ね歩く。

 著者は写真家でノンフィクション作家。リュートとの出合いを書いた前作『みんな彗星(すいせい)を見ていた』では「弾いてみた」という風だったのに比べ、続編に当たる本作では採譜にも挑戦するなど著者の奮闘ぶりに引き込まれる。壁にぶつかると先達から「要は慣れの問題」と助言され、猛練習の過程で中世の音楽世界への回路が開けていく。

 一曲ごとに章を立て、舞台は英国からベネチア、エルサレム、長崎まで広がる。中世の死生観や、天正遣欧使節が秀吉の前で弾いた曲の真偽にも言及。「リュート弾き」ならではの歴史の検証には説得力がある。 (平原奈央子)

「旅ごころはリュートに乗って」 星野博美著(平凡社・2090円)

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