気軽に受けられる体制を 安東由喜雄氏

西日本新聞 オピニオン面

◆PCR検査

 長崎国際大(長崎県佐世保市)にPCRセンターを開設して4カ月余りがたった。当初は学生や職員、近隣住民の検査を目的に始めたが、キャパシティーをはるかに上回る依頼がある日が多いため、11月に検査機器の増設を計画している。

 新型コロナウイルスに対するPCR検査の問題点は枚挙にいとまがない。とりわけウイルスの無症候感染者、軽症者が事実上、自由診療枠でしか検査できない状況が続いていることが大きな問題である。実際、本センターで検査を受けた約700件の43%が、感染可能性の低い企業人や一般市民からの依頼であった。

 最近、大都市では検査センター、医療機関、企業などが積極的にPCR検査を自由診療で請け負い、海外渡航者、帰国者、保健所や医療機関で対象外とされた人の検査が行われるようになってきた。しかし、検査料は2万~5万円もかかり、気軽にできる検査とは言い難い。

 一方、地方では自由診療の検査を請け負う検査所が少ないうえ、検体採取を積極的に行ってくれる医療機関も少ない。長崎県の場合、県南は長崎大がPCR検査を手広く請け負っているが、県北で自由診療を積極的に受け入れる施設は本学くらいしかなく、離島や過疎地の感染が疑われるケースの診断が取り残されている。

 新型コロナウイルス感染者は半分以上が無症状か軽症者であるため、この状態が続く限りクラスターの原因になり、いつまでたっても感染者数はゼロに近づかない。

 わが国でも米ニューヨークのように自由診療への助成制度をつくり、いつでも何回でも検査できるようになれば、無症候感染者が気軽に検査でき、的確に隔離して感染者数を激減させることができる。また、検査場所を増やすために、医学部がなくても必要な研究設備と教員を持ち、検査可能な大学や施設を掘り起こし、助成する必要がある。そのことが経済を再生させる近道である。

 抗原検査はPCRより精度が低いため、結局はPCR検査に頼らざるを得ない。新型コロナ感染に加えてインフルエンザの流行が起こる「ツインデミック(同時流行)」が襲来する前に、より安く、より気軽にPCR検査が受けられる状況を切り開かなくてはならない。

 安東由喜雄(あんどう・ゆきお)長崎国際大学長 1953年、大分県別府市生まれ。2019年3月まで熊本大病院神経内科教授。13~19年に医学科長、医学部長・研究部長。専門は神経内科学、アミロイドーシス学。

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