携帯料金値下げ 幅広い利用者の負担減を

西日本新聞 オピニオン面

 菅義偉政権による携帯電話料金の値下げ要請を受けた動きが出始めた。大手3社のうちKDDIとソフトバンクが、これまでより割安な料金プラン導入を相次いで発表した。最大手のNTTドコモも今月中には新たな対応を発表するとみられる。

 国際的に割高とされる携帯電話料金の引き下げは利用者にとって朗報ではある。ただ手放しで歓迎できる内容ではない。両社の新プランは20ギガバイトの大容量で月額5千円以内に収まるが、恩恵があるのは動画視聴などでデータ通信量が多い一部利用者に限られるからだ。

 携帯電話、特にスマートフォンは今や生活必需品と言える。せっかくの料金引き下げも、対象が限定的なら看板倒れだ。大手3社には、幅広い利用者の負担軽減につながる料金プランの見直しを進めてもらいたい。

 総務省によると、携帯電話利用者の半数近くは月間のデータ通信の使用量が2ギガバイト未満である。10ギガバイト以上は2割にも満たない。

 しかも、両社の新プランは格安ブランドの「UQモバイル」「ワイモバイル」での提供となる。メインブランドの「au」「ソフトバンク」の利用者が新プランを利用するには契約をやり直して、乗り換える必要がある。手続きが面倒だと二の足を踏む利用者が出かねない。

 スマホは1人1台の時代となり、会員制交流サイト(SNS)やネットショッピングなどさまざまなサービスに利用されている。緊急地震速報や大雨の特別警報といった緊急速報メール受信や、新型コロナウイルスに対応した需要喚起策「Go To キャンペーン」で旅行や飲食店の予約をするにもスマホが欠かせない。

 菅政権が大号令をかける行政のデジタル化も、国民の多くがスマホを利用することが前提となろう。

 一方、家計の負担が年々重くなっているのも、見逃せない事実だ。家計調査によると、移動電話通信料は2人以上世帯で月1万円を超え、この10年間で3割以上増えた。大手3社の契約者の7割近くは料金が高いと不満を持っている。料金引き下げに政府が取り組むのは決して的外れではない。

 料金値下げに向けて総務省は行動計画を発表した。公正取引委員会も携帯電話市場の競争環境について実態調査を始めた。政府は事業者の競争を促す環境整備に一段と注力すべきだ。

 携帯電話と固定電話のセット割引が携帯電話乗り換えの障害になっているとの指摘もある。利用者目線で、最適な料金プランや携帯電話会社を選びやすい環境づくりを急いでほしい。

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