わが子の「やる気スイッチ」どこに? 教育ジャーナリストの秘策とは

西日本新聞 くらし面 四宮 淳平

 わが子のやる気を引き出したいけど、どうすればいいの…。そんな保護者向け書籍「子育てベスト100」(ダイヤモンド社)が6月の発行から15万部を超えた。著者の教育ジャーナリスト加藤紀子さん(47)=東京=にポイントを聞いた。

 -今、子どもたちが必要とする力は。

 「これからの時代は、一人一人が違うものを求めて生きる。人の価値観が多様化し、複雑になっている。コロナ禍で見えたように世界がどう変化するのか予想しづらく、安泰と思って就職してもそうではない。置かれた環境で自分なりの幸せを見つけられる力と、自分は自分でいいと思える自己肯定感が大切になる」

 -著書では100通りの子育て法を紹介している。

 「対話や人の話を聞く力を育てることを意識してほしい。親は子どもの話を聞き、何でも言える環境をつくる。子どもは話をじっくり聞いて共感してもらうことで、自分の役割や価値が見えてくる。東大生へのアンケートでも家族とよく話をしたという結果がある」

 -うまく対話にならない時もある。

 「子どもの話を聞いていると、つい説教をしたくなることがある。私もそうだが、大目に見ていた出来事への不満が蓄積していた時に、子どものいいかげんな態度が目につくと、怒りが爆発してしまう」

 -ありがちな状況だ。

 「爆発しそうな時はコーヒーを飲む、別の場所に行くなどしてクールダウンする。でも、私もなかなか抑えられない。言い過ぎた時は謝れば、子どもも受け止めてくれるはず。親の話は短くした方が、子どもが多くしゃべりやすい。ひとり親で時間がない家庭もあると思うが、学校や学童保育の先生など、どこかに話し相手がいればいいと思う」

 -しつけも大切だ。

 「厳しい言葉や罰で追い込むのは即効性はあるかもしれないが、長期的にみると逆効果。人は禁止されると、かえってやりたくなる。例えば部屋の片付けができないケースでは、上手な方法が分からないのかもしれない。片付け方を教えたり、一緒に考えたりしてはどうか。ゲームをやめない時は宿題やお手伝いをすれば、好きなだけやっていいと言う手法もある。ただ、道路への飛び出しなど命の危険に関することは厳しい態度で接するべきだ」

 -著書では、ドリル型の詰め込み教育の弊害も指摘している。

 「知識を得るための教育は否定できない。議論しても、予備知識がある人とない人では深みが違う。ポイントはバランスと効率。全て詰め込みになると得た知識を運用する訓練ができない。情報通信技術(ICT)を活用し、習熟度に応じて学習できるようになれば、それぞれのペースで学びを深められるはずだ」

 -受験に備え、塾に通う子どもはたくさんいる。

 「暗記に疑問を感じても、受験を突破しないと大学生になれない。ただ、入試の選択肢は増えているし、塾も人工知能(AI)を導入して学習を効率化するなどの工夫をしている」

 -学校教育の課題は。

 「先生の雑用を減らし、教えることに専念できる環境をつくることが必要だ。そのうえで保護者は、一緒に学校の授業をつくるくらいの気持ちでいた方が良い。期待して文句ばかり言っても学校は変わらない。他校の先進例を導入してほしいと思ったら、一緒に変えるように行動してはどうか」

 -子どもたちが成長した時、「与えられた課題の正解を求める力」よりも「自分で問いを立て、解決策を仲間と協力しながら考え、生み出す力」が求められると著書で指摘している。

 「菅義偉首相が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを宣言したように、環境問題は世界の最上位の課題といっていい。ただ、解決策はまだなく、一つの国では解決できない。だからこそ、自ら問いを立て、協力することが求められている。世界がどう変わろうとしているのかを見て、子どもの将来を考えてほしい」 (編集委員・四宮淳平)

考える力を伸ばす方法、オンライン講演

 加藤紀子さんが講師を務めるセミナー「親子の会話で子どもが伸びる!」(西日本新聞社主催)が12月5日午前10時、オンラインで開催される。参加無料。

 親子の会話を効果的に進め、子どもの「自ら考える力」を伸ばす工夫などを紹介する。申し込みは29日までにこちらから。定員100人。問い合わせは10分トレーニング事務局=092(711)5430。(平日午前10時~午後5時)

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