天草・旧家に残るステンドグラス 大浦天主堂創建時と同一か

西日本新聞 熊本版

 熊本県天草市の旧家に残る古いガラス板2枚が、現存する国内最古のキリスト教会、大浦天主堂(長崎市)で1864年の創建当時に使われたステンドグラスと同一である可能性が高いことが、同市のガラス工芸家竹田克人さん(72)の調査で分かった。ガラス内部の気泡の状態などから、2枚は手作業で製造されたものという。天主堂のステンドグラスを修復した経験がある竹田さんは「これほど大きく古いものは国内で見たことがない」と話している。

 2枚のガラス板は天草市有明町の北野鋼一さん(77)方に代々伝わり、琥珀(こはく)色が縦60センチで横45センチ、透明が縦50センチで横45センチ程度。

 北野さんによると、北野家は赤崎村(現在の天草市有明町)の庄屋。先祖の北野織部は1859年から翌年にかけて、長崎の大浦湾を埋め立て外国人居留地を造成した人物で、大浦天主堂の建築工事を請け負った御領村(現在の同市五和町)の大工棟梁(とうりょう)、小山秀之進の実兄にあたる。

 小山はグラバー邸などの建築も請け負って興隆するが炭鉱事業に失敗。負債を抱え織部を頼って天草に戻ったという。ステンドグラスは当時、高価で希少品。鋼一さんは約40年前、屋敷の管理人から大浦天主堂のステンドグラスが保管されていると聞かされており、「小山が織部に譲ったものではないか」と話す。

 寄託していた天草市立天草キリシタン館から返還された後の2016年、市が文化財保存支援機構(京都)に依頼し、ガラスの組成などを分析したが、製造した会社や、大浦天主堂と同一かは分からなかった。

 今年9月、地元の天草キリシタン研究会(浜崎献作会長)が竹田さんに調査を依頼。竹田さんが約30年前に天主堂修復で用いたガラスのサンプルと比較、照合した結果、「大浦天主堂に使われている琥珀色と同じ色。フランスのガラス製造会社サンゴバン社製だろう」との見方を述べた。

 大浦天主堂キリシタン博物館(長崎市)の内島美奈子研究課長によると、天主堂は1864年、フランス人宣教師ベルナール・プティジャン神父の指導で建設。当時は日本国内で色ガラスを作る技術がなく、長崎を経由し、フランスから輸入したという記録がある。1945年の原爆投下や91年の台風などで被害を受けるたびに改修を重ね、建設当初のステンドグラスは一部に残るだけという。内島さんは「天草に残る色ガラスは創建時や過去の改修工事に関係する資料として、非常に貴重だ」としている。 (金子寛昭)

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