八女市長選 三田村氏が圧勝で4選 豪雨復旧、中山間地で厚い支持

西日本新聞 筑後版 丹村 智子 野村 大輔

 福岡県八女市長選は現職の三田村統之氏(76)が4選を決めた。告示前は、新人で元県議の野田稔子氏(61)との接戦と見る向きもあったが、結果は三田村氏が投票総数の過半数を獲得する圧勝だった。10年前に4町村を編入合併してから初の市長選で、三田村陣営は政党や農政連のほか、市議22人中17人らも加わる圧倒的な組織力で、県内2位の広い市内に支持を広げた。一方、野田陣営は敗因として「旧町村で支持を広げられなかった」ことを挙げた。

 「(選挙の)熱は山から下りてくる」。地域をよく知る商店主の男性(50)はこう評する。「山」とは、市東部の中山間地に広がる旧町村一帯を指す。

 八女市は中心部の旧八女市に人口の6割が集中しているが、市議会を見渡すと旧町村在住の市議が半数を占める。「地域の代表を議会に送り込む市議選では山間部ほど熱心。中心部に住む家族や友人にも(旧町村の市議への)投票を呼びかける」と旧町に暮らす男性(76)は語る。事実、地元の有権者数より多く得票する市議もいる。この熱意は市長選でも力を発揮する。

 三田村陣営は旧町村、とりわけ中山間地域で、国・県との連携の重要性を訴えた。市全体の65%を占める森林では近年、豪雨などによる災害が多発。自主財源に乏しい中、三田村氏は国・県の支援を取り付けて復旧を進めてきた。「県や国に要請しなければ復旧はかなり遅れていたのでは」と70代の地元男性が語るように、実績が一定の評価を得た。

 選挙戦終盤には「市東部の票は固められた」(選対幹部)と手応えを得た三田村陣営。市中心部と東部をつなぐ国道沿いで運動員が手を振ると、手を振り返してくる人が増えたという。

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 対する野田陣営が訴えた大型公共事業の見直しは、一定の支持を得た一方で、不安を抱いた市民もいた。旧町に暮らす50代女性は「山奥の集落は車なしでは暮らせないのに道は狭い。田舎にはまだ公共事業が必要」と語った。

 「勇気を持って変えてみませんか」。野田氏のキャッチフレーズは、夫で元市長の国義氏(62)が、現職の5選を阻んだ1993年の「変えてみませんか」をなぞったもの。ただ、有権者からは「夫の意向で選挙に臨んでいるのでは」(60代女性)などといぶかしむ声もあり、イメージが重なることの弊害もあった。

 一方、もう一つのフレーズだった「初の女性市長誕生を」という呼びかけには、賛同する声が多く聞かれた。「女性目線を取り入れて」(60代女性)、「女性に市政を変えてほしい」(60代男性)と期待も集まった。ただ「上に立つのは男の方がうまくいく」(70代女性)といった保守的な考えも根強く残るなど、野田氏本人も「“ガラスの天井”を感じた」と語った。

 もう一人の候補、保守系の元市議石橋義博氏(62)は、三田村氏と保守票を奪い合うとみられていたが、結果的に「反現職の票を野田氏と分けた形になった」と三田村陣営は分析する。

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 歯止めがかからない人口減少、そして新型コロナウイルスの影響で社会が変革を迫られる中、4期目のかじ取りを担うことになった三田村氏。一方で、他の2候補が獲得した1万4694票の中には、多選や高齢に対する批判、市政に変化を望む声が多くあったのは現実だ。こうした声を受け止め、若い人材の積極活用や柔軟な施策を打ち出しながら、未来につながる市の設計図を描くことが求められる。 (丹村智子、野村大輔)

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