心の悩み「駆け込み寺」メール相談、ギネス級12万件  医師が返信20年

西日本新聞 竹次 稔

 20年間にわたり、働く人たちを中心にメンタルに関する無料相談をメールで受け付けてきた医師がいる。横浜労災病院・勤労者メンタルヘルスセンター(横浜市)の心療内科医、山本晴義さん(72)だ。累計で12万件に上り、ギネス世界記録への申請の話が出たほど。新型コロナウイルス感染拡大で在宅勤務が増えた5月以降、相談数は大幅に増えており、知る人ぞ知る「駆け込み寺」となっている。

 「3月ぐらいから体調が悪化し、薬を服用しながら出勤とテレワークをしています。『もし感染したら』ってばかり考え、会社以外の外出は怖いです」

 10月に寄せられたメールの一節だ。山本医師は返信した。

 「コロナの不安、テレワーク、1人暮らしと、いろいろとご心配なのですね。コロナは手洗い、うがいなどで十分に予防できます。専門医を受診しながら、必ず今のつらさは克服できますから」

 やりとりした結果、前向きな声が届いた。

 「絶対きっと心から笑える日が来るって信じて頑張ります」

     ◆

 メール相談を始めたのは2000年5月。当時、全国の労災病院で予防医療事業として電話、メールの相談窓口が設置され、続いているのは山本医師のメール相談だけという。医師自ら応じるのも全国的に珍しい。「10万件を超えた時、ギネス申請の話も出ましたが、個人情報の問題があるので断念しました」と笑う。

 病院での診療の傍ら、原則24時間以内に最初の返信をする。目的は、メンタルの不調が深刻化するのを未然に防ぐこと。診察をメールで行うと医師法違反に当たるため、健康相談や専門医受診へのつなぎ役であることを意識している。

 対象エリアは問わず、九州や海外からもメールは寄せられる。厚生労働省も無料通信アプリ「LINE(ライン)」による窓口などを設けるが、山本医師は「一定の文字数を書き込めるメールだと、相談者の背景を推察しやすい」と語る。

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