川辺川ダム、容認へ 熊本県知事、近く表明 「流水型」軸に調整

西日本新聞 一面 古川 努

 7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水策を巡り、熊本県が最大支流の川辺川へのダム建設を容認する方向で調整していることが11日、県関係者への取材で分かった。環境への負荷が比較的小さいとされる流水型ダム(穴あきダム)を有力な選択肢と考えており、ダムや堤防、遊水地などハード面の整備や改良と、避難などソフト面の対策を組み合わせた「流域治水」を進める方針。 

 関係者によると、近く開催を求める県議会全員協議会で、蒲島郁夫知事が正式に表明する見通し。脱ダムを基本としてきた球磨川の治水は大きく方針を転換することになる。

 川辺川ダム計画は国が1966年に発表。流域ではかねて反対が根強く、2008年に知事に就任した蒲島氏は最大受益地である人吉市長(当時)らの反対表明もあり、同年9月に「白紙撤回」を打ち出した。これを受け、国も09年に計画を中止した。

 流域では「ダムによらない治水」を検討したものの具体策がまとまらず、熊本豪雨では流域の50人が河川の氾濫で犠牲となるなど甚大な被害が出た。

 10月に開かれた豪雨検証委員会で、「川辺川ダムがあった場合、人吉市地点の浸水面積は6割減らせた」との推計を国が公表したことで、ダムの是非論が再燃した。県の治水方針が定まれば、国や県、流域12市町村などでつくる「流域治水協議会」が具体的な治水策の検討に入る。各市町村長からダムへの反対表明はない。

 蒲島氏は治水方針に民意を反映させるとして、10月半ばに始めた流域各地での意見聴取会で住民や団体約450人から意見を聞き取り、今月11日には河川工学の識者3人に流水型ダムのメリットやデメリットを尋ねた。聴取後の報道陣の取材に対し、「(流水型ダムへの)理解は深まった。関心を持って聞いた」と話したが、ダムを容認するかどうかについては「方向性は検討段階」と述べるにとどめた。

(古川努)

【流水型ダム】普段は水をためず、豪雨などによる増水時に貯水することで、河川に流れる水量を調節する治水専用ダム。堤体に穴をあけて流水路を確保する形状が多く、「穴あきダム」とも呼ばれる。魚の遡上(そじょう)や土砂の流出を妨げないことで環境負荷が少ないとされる一方、流木で詰まるなどの懸念もある。島根県の益田川ダム、長野県の浅川ダムの例があり、熊本県の白川でも立野ダムを建設中。

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