「流水型ダム」専門家の見解割れる 蒲島知事「環境への配慮が必要」

西日本新聞 熊本版 古川 努

 7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水策を巡り、熊本県の蒲島郁夫知事は11日、河川工学の専門家3人から意見を聴取した。川辺川ダム建設の是非論が再燃する中、「環境への配慮が必要」という点では一致したが、環境への負荷が少ないとされる流水型ダム(穴あきダム)の効果や負の影響については意見が分かれた。

 リモート参加した京都大の今本博健名誉教授は「私はダムを完全に否定するものではない」としながらも「だが、ダムができると川が変わってしまう」と環境悪化に強い懸念を示した。

 今本氏は、国が示している「川辺川ダムが存在した場合、人吉市地点で浸水範囲は6割減」とする検証結果に対し、「ダム効果を過大に評価している。効果は3~4割減にとどまる」と独自試算で反論した。流水型ダムについても「魚の遡上(そじょう)が阻害され、土砂が堆積する」と否定的で「避難対策と公的補償制度で対応すべきだ」と主張した。

 一方、熊本大の大本照憲教授は「従来型ダムは副作用が大きい」としながらも「流水型ダムに放流ゲートを設置すれば、ダム内に堆積する土砂をコントロールでき、水質は守れる」と述べた。

 大本氏は「今回の災害では人吉球磨盆地に(氾濫水を)貯留したことで八代市が守られた」との見解を示し、「これを見過ごしてはいけない。流域の中核である人吉市を救う必要がある。ダムを建設するならば清流を後世に残すため、安全と環境の折り合いをつけて」と注文した。

 九州大の島谷幸宏教授は「本流対策だけでは限界がある」として、水田に貯留する「田んぼダム」や休耕田を活用した遊水地などを組み合わせた「流域治水」の重要性を強調。支流も含めたきめ細かい対策を積み重ねた上で「最後の手段」として流水型ダムの設置もあり得るとした。

 島谷氏は「川辺川が死んだら、あの地域はなくなってしまう。環境への配慮が必須」と訴え、「流水型ダムも構造によって環境への影響は異なる。大洪水を貯留し、中小洪水は流す構造にすれば、堆積した土砂を流せる。環境への負荷は減らせる」と述べた。

 12日は県議会各会派のほか、山田正中央大教授に意見を聞く予定。

 (古川努)

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