新型コロナ拡大 冬本番に備え対策強化を

西日本新聞 オピニオン面

 流行の第3波に入ったと捉えるべきだろう。北海道や大都市圏を中心に全国で連日、千人規模の新型コロナウイルスの新規感染者確認が続いている。感染症のウイルスが活性化する冬に向けて警戒を強めるべきだ。

 政府の新型コロナ対策分科会は「適切な対策を取らないと、急速な感染拡大に至る可能性が高い」として緊急提言をまとめた。これを受け政府はクラスター(感染者集団)対策などの強化に乗り出した。

 クラスターの発生場所は接待を伴う飲食店に限らず、留学生などの外国人コミュニティーから若者の飲み会まで多様化してきた。このため提言は、外国人向けに多言語や簡易な日本語で啓発に努めるよう求めた。若者のクラスターを見つけるため、学校の欠席者数や会員制交流サイト(SNS)上のデータの活用なども提案した。

 クラスター発生をいち早く察知し濃厚接触者をPCR検査することが、対策の基本である。プライバシーの保護に配慮しながら着実に実施してほしい。一方、感染者への心ない差別が各地で起きている。特に外国人などマイノリティーへの差別が広がらぬよう、注意が必要だ。

 感染者が増えた地域では集中的なPCR検査を実施するという。国は専門的人材や保健師の広域派遣などの準備を進め、どの自治体で感染拡大しても必要十分な検査を速やかに実施できる態勢づくりが求められる。

 欧州では感染者が再び爆発的に増えている。空港の検疫など水際対策の強化も欠かせない。

 観光支援事業「Go To トラベル」の利用者の感染も確認されている。加藤勝信官房長官は「利用者から観光事業者などに感染が広がった報告はない」として、感染が急増中の北海道も事業対象から当面除外しない意向を示している。

 分科会は、感染状況を表す4段階で「急増」を意味するステージ3相当と判断される地域は「Go To」事業からの除外を検討するよう求めている。

 人の移動が増えるほど感染拡大のリスクは高まる。政府は北海道などの除外のタイミングを誤らぬよう、PCR検査の陽性率や療養者数といった指標の推移を丁寧に見守るべきだ。

 米国でワクチンの開発が最終段階に入った。朗報として注目を集めている。ただ有効性と安全性が確認され、日本で広く使われるのは早くとも来春以降という。それまでは、私たち一人一人が感染を防ぎつつ、クラスターの早期発見や検査の拡充、医療現場の整備といった地道な対策を続けるほかない。

 新規感染数が比較的落ち着いている九州も油断は禁物だ。

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