重い障害があっても…葛藤する姿描く 監督が映画「道草」に込めた思い (2ページ目)

西日本新聞 くらし面 三宅 大介

当事者目線大事に

 映画の後半には、16年に相模原市の入所施設で起きた障害者殺傷事件で一命を取り留めたことを機に、自立生活を模索し始めた尾野一矢さんと、両親も登場する。地域での暮らしが理想ではあっても「隣近所とのつながりが薄いことなどから疲弊し、入所施設がなければどうにもならない家族がいる」ことも、宍戸さんは理解している。

 重度訪問介護をどの程度認めるかは自治体の裁量が大きく、対応できるヘルパー事業所のマンパワーも課題だ。各地での上映会に参加した親たちから「うちもわが子を自立させたいけど難しい、どうしたらいいか分からない、つらい」と言われることも少なくない。

 「そうやって悩んでいる人の声をどう表に出していくのか。今後も当事者の方々と思いを共有し、確認し合う機会を大事にしながら、一緒に考えていきたい」

 トークショーでは、障害者向けの就労継続支援施設に通う福岡県飯塚市の金子正歩(まさほ)さん(25)も登壇。「障害があっても24時間、自由な生活ができる社会の実現にはまだバリアーがある。当事者の目線で私たちの暮らしを考えてくれる家族や支援者がもっと増えてほしい」と訴えた。 (編集委員・三宅大介)

 ▼映画「道草」 2018年、95分。全国各地の映画館や自主上映会で随時公開中。コロナ禍で上映の延期などがあったため、今年12月31日午後5時まで、オンラインでも「レンタル配信」する。1人1300円。購入から24時間以内に限って視聴可能。バリアフリー字幕付き。配信先リンクはhttps://vimeo.com/ondemand/michikusa2020

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