昭和の風情がまた消える…「角打ち」宮原酒店閉店へ

西日本新聞 北九州版 菊地 俊哉

 北九州市八幡西区のJR折尾駅近くの角打ち「宮原酒店」が今年いっぱいで閉店する。店は昭和の風情漂う飲食店街にあるが、市の整備事業で区画整理の対象になった。「体を動かすのがつらくなった」と話す店主の宮原弘子さん(84)。それでも「最後までやりきりたい」と店に立ち続ける。

 宮原酒店は創業から100年以上の歴史を誇り、宮原さんは3代目。60年前、結婚でこの店にやって来た。店では既に角打ちをやっており、いつ始まったかは分からないという。

 「お釣りを渡す間もないくらいの早さで、コップの焼酎をキューッと飲んで店を出て行った」と、宮原さんは当時の客の様子を語る。朝も昼も、工場で3交代制の仕事を終えた労働者たちの疲れを、コップの酒が癒やしてきた。

 1カ月前から店に来るようになったという50代男性は東筑高(同区)OB。登下校に店の前を通った。東京で仕事をしていたが地元に戻ってきた。「黒崎から井筒屋がなくなり、折尾は駅周辺が再開発の最中。地元の大きな変化に吸い込まれるように帰ってきた」と話す。

 閉店を前に、常連客のグループは既に2回、店でお別れ会を開いた。宮原さんは「隣り合った客がすぐ打ち解け仲良くなれるのが、角打ちのいいところ」という。常連客たちはかつて、宮原さんと花見に出かけたり、宴会を開いたり、店の外でも交流を深めてきた。

 店の最終日は12月30日の予定。閉店を聞きつけて県外からも客が訪れ、別れを惜しんでいる。「お客さんには閉店まで、和気あいあい楽しんでもらうことを願っています」と笑顔の宮原さん。店の花瓶には、お別れ会で常連客からもらった花が生けられていた。

(菊地俊哉)

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