GoTo事業維持 感染拡大誘発の可能性も…経済優先で政権ジレンマ

西日本新聞 総合面

 政府が「Go To キャンペーン」の見直しや緊急事態宣言に消極的な背景には、営業や移動の自粛要請で感染を抑え込むやり方ではなく、経済回復を重視する菅義偉首相の姿勢がある。ただ新型コロナウイルスの感染者数は13日、2日連続で過去最多を更新した。拡大の一途をたどれば、「手をこまねいた」と批判が一気に高まり、政権が揺らぐ恐れも出てくる。

 「やっぱり来たか」。首相は感染者数が最多を更新したとの報告を受けた13日午後、周囲に漏らした。驚いた様子はなかったという。「寒くなれば感染が増えるのは覚悟していた。予想の範囲内だ」。側近の一人は首相の胸中を代弁し、平静を装う。

 GoToキャンペーンは、首相が第2次安倍政権の官房長官として旗を振って推進してきた経済対策の柱だ。「移動による感染リスクは少ない」などと就任後もたびたび効果を強調。実際、共同通信社の10月の世論調査では、コロナを巡る政府対応を「評価する」とした割合が3月以降で初めて5割を超えた。GoTo人気が押し上げたとみられている。

 政府がGoToにこだわる背景にあるのが、4~5月に実施した緊急事態宣言の副作用の大きさだ。2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は戦後最悪のマイナス成長に陥った。観光や飲食業は深刻な影響を受けた中小事業者が多く、支援への期待は膨らんだ。「日本学術会議の会員任命拒否問題を批判されても支持率が大きく落ちないのは『GoTo』のおかげだと首相は思っている」と官邸関係者は指摘する。

 ただ、事業が感染拡大を誘発している可能性も否定できない。日本医師会の中川俊男会長は現在の感染状況を「第3波と考えてもよいのでは」と警鐘を鳴らす。大阪府の吉村洋文知事も同様の認識を示している。

 春先の感染拡大では専門家や知事の発信に比べ、政府の対応が後手に回る場面が目立ち、前政権は支持率を落とした。「感染状況を注意深く見極める必要がある。菅内閣の正念場だ」。政府高官はこう語った。 (東京支社取材班)

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