給食「仲介費」米飯やパン、牛乳の直接購入で年5500万円削減 福岡市

 福岡市は本年度から、学校給食用の米飯(精米含む)、パン、牛乳の基本食品3点について、市町村へ卸売りする公益財団法人福岡県学校給食会(同県筑紫野市)を通さず、食品業者からの直接購入に切り替えた。県内60市町村で、3点全てを給食会以外から購入するのは福岡市が初めて。給食会の仲介を省くことで、食物アレルギーに柔軟に対応でき、購入費は年間約5500万円(推定)削減できるようになったという。

 同市は市立の小中学校と特別支援学校の児童・生徒計約12万人に給食を週5回提供。米飯は週3回、パン週2回、牛乳週5回で、この3点は給食会設立当初から同会を通じて購入してきた。2019年度の3点の購入費は約25億4千万円。

 ただ同市は食物アレルギーへの対応強化などを図る上で「給食会は県内統一的な対応で、一部の子のアレルギー原因となる食材を使わないパンに切り替えてほしいといった要望になかなか対応してくれない」(同市教育委員会給食運営課)と判断。購入費削減にもつながることから、18年度以降、切り替え準備を進めてきた。

 19年度まで、給食で必要な米飯やパン、牛乳は、市が食品業者(米飯業者1団体、パンメーカー3社、牛乳メーカー2社の計6業者)に発注するが、契約や料金の請求、支払いは食品業者ではなく、給食会との間で行っていた。20年度からは発注、契約、料金の請求、支払いは全て市と食品業者の間で行うよう変更した。市によると、給食会から購入していたときも現在と同じ6業者が各学校に納品していたという。

 給食会は「福岡市のさまざまな要望に十分に応えることができなかった面はあるかもしれない」としている。

県教育庁天下り先打撃か

 福岡県内の市町村で学校給食を利用する児童・生徒数が最も多い福岡市が給食用基本食品3点を県学校給食会から購入しなくなったことで、給食会の事業や運営に大きな影響を与えるのは必至とみられる。給食会トップの理事長は県教育庁OBの天下り先で、報酬の見直しも検討している。

 給食会は1949年、当時の文部省体育局長通達に基づき、県教育庁内に設立されたのが原点。54年に財団法人となり、2011年度に県知事から公益財団法人に認定された。給食用食品の安定供給、安全性確保に関する事業などを行う組織と位置づけられており、独立採算で運営している。

 3点のうち米飯は一部市町村が給食会以外から購入する例はあるが、19年度までは福岡市も含めて県内のほぼ全市町村が3点を給食会から購入してきた。

 給食会の学校給食用食品の売上高は、おかず用なども含めて約110億円(19年度)。うち約23%が福岡市の3点分だった。給食会は、同市の切り替えについて「事業に影響はない」と説明、経費削減で会運営にも支障はないとしている。他の自治体が追随するかは分からないが、給食会の取扱量が減って食品業者との交渉力が低下することや給食会の財政も厳しくなることが予想される。

 給食会の理事長職は、少なくとも公益財団法人となった11年度以降、教育次長(現在の副教育長)など幹部経験者が就任し続け、現理事長の西牟田龍治氏で4人目。理事長の年間報酬額は840万円で、給食会は「新型コロナウイルスの影響で給食が減ったこともあり、報酬額の見直しを検討している」としている。 (西山忠宏)

  • 西日本新聞

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