新たな対米関係 「追従」姿勢からの脱却を

西日本新聞 オピニオン面

 米大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領が早くも外交を始動させている。日本にとって日米同盟が外交の基軸であることは変わらない。大統領交代に伴う米国外交の軌道修正を注視しながら、東アジアの安定や地球的規模の課題解決に向け日米関係を進化させたい。

 バイデン氏はカナダ、欧州主要国に続き、日本や韓国などの首脳と電話で会談した。菅義偉首相とは同盟強化を確認し、民主主義や法の支配を尊重する関係国との連携で一致した。

 安倍晋三前首相はトランプ大統領との蜜月関係を築いた。「自国第一」を掲げ実利優先だったトランプ氏の圧力を緩和できた半面、貿易交渉の譲歩や米国製高額防衛装備品の購入などでひずみを残した。菅首相は安倍氏の外交を継承する方針を示しているが、「対米追従」と批判された点は改め、両国関係の再構築を目指すべきである。

 当面の課題に在日米軍駐留経費がある。日米両政府は現在、2021年度以降の日本側負担(思いやり予算)を協議している。トランプ政権は現行の4倍増を求めたという。日本としては到底認められないものだ。

 同盟国との関係重視を打ち出すバイデン氏が、この問題をどう扱うかはまだ見通せない。ただ、米国にとって日本の米軍基地は世界戦略上の重要な拠点であり、国益にかなうから米軍は駐留している。外交通のバイデン氏も当然、熟知しているだろう。日本政府は、そうした認識を確認した上で適切な負担の在り方を主張すべきだ。

 沖縄の過重な負担を見直す契機にもしたい。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画は埋め立て地の地盤が軟弱で工事費が膨張している。県民の反対も強く、抜本的な見直しが必要だ。

 バイデン氏は菅首相との電話会談で、中国船の進出が活発な沖縄県の尖閣諸島について、日米安保条約で米国の対日防衛義務を定めた第5条の適用対象であると明言した。従来の立場に変更はないとの確認である。

 尖閣問題に限らず台頭する中国を「脅威」と捉えて厳しい姿勢で臨むべきだという認識が米国で超党派に広がる。バイデン氏も当面、対中強硬路線を維持するだろう。日本は東アジアに米国の関心をつなぎ留め、中国には緊張を高めぬよう対話で促していかなければならない。

 北朝鮮政策でバイデン氏は首脳会談の条件に非核化の進展を挙げている。米朝対話が途絶えれば北朝鮮が再び挑発を仕掛ける懸念もある。日本には核・ミサイルとともに拉致問題が重要課題だ。日米の新たな連携で北朝鮮を動かす知恵も絞りたい。

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