記者が語る琴奨菊 土俵で追究し人柄は笑顔通り、苦境でも相撲愛は変わらず

西日本スポーツ 手島 基

 支度部屋で話を聞く大相撲の取材はコロナ禍で一変した。リモート取材。記者の質問に答えるかは力士の意思による。琴奨菊は先場所の9日目に対応。前日は幕内後半の西の力士が全敗して誰も取材に応じなかった。琴奨菊は「(力士が取材を)受けていないという記事を見た。験を変えて参加させてもらおうと思った」。翌日から取材に応じる力士が増えた。

 琴奨菊が現役引退の意向を固めた。最後の一番となった6日目に披露した「琴バウアー」。優勝時に注目された上体を大きく反らせて気持ちを整えて最後の塩をまくルーティン(決まり事)は「気をためるのは、そこではない」とやめていた。その後「最後にやりたい」と話していたこともあり「引退」のメッセージとなった。

 「奥が深い。だから面白い。大好きな相撲を多くの人に伝えたい」。苦境でも相撲愛は変わらない。「けがを受け入れ、自分のできることをすることで下の子(若手力士)たちに伝えられる」。所属する佐渡ケ嶽部屋は琴勝峰、琴ノ若といった若手の台頭が著しい。

 コロナ禍前は写真撮影などファンサービスに努め、下戸でも酒席に喜んで参加。同じ二所ノ関一門の嘉風(現中村親方)とトレーニング論やメンタル論を戦わせ、プロ野球前福岡ソフトバンクの内川聖一に打者と投手の心理を聞いては家族ぐるみで付き合う。

 取材が厳しく制限される前から、迷惑を顧みずに私が送る無料通信アプリLINE(ライン)のメッセージや電話で心境や現状を教えてくれた。土俵と真摯(しんし)に向き合い、苦しみや弱音は柔和な笑顔で包み隠す。「親方として一から頑張る」。強さと優しさを併せ持つ指導と弟子の開花が楽しみだ。(手島基)

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