中国、アジア経済主導急ぐ 影響力拡大を日本は警戒 (2ページ目)

西日本新聞 総合面 坂本 信博 古川 幸太郎 久永 健志

巨大市場誕生、中韓との関係改善も

 日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)などの「地域的な包括的経済連携(RCEP)」によって、世界の国内総生産(GDP)総額と貿易額の約3割、日本の貿易額のほぼ半分をカバーする巨大市場が誕生する。参加メンバーに日中韓というアジアの主要経済国を含むのが最大のポイントだ。世界経済が新型コロナウイルスの打撃を受ける中、域内経済の活性化にとどまらず、対立を抱える日中韓3カ国の関係改善にもつながると期待される。

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハラウンド)が行き詰まるなどWTOの機能不全が深刻化する中、日本は2000年代初頭から2国間・地域の経済連携協定(EPA)に注力。これまでに環太平洋連携協定(TPP)など計20の協定が発効・署名済みとなっている。

 だが韓国とのEPA交渉は、対日貿易赤字に対する韓国側の懸念もあって04年から中断。中国とは沖縄県・尖閣諸島を巡る争いや歴史認識問題などの政治的対立を受け、交渉への機運さえない。トランプ政権下の米国など世界で保護貿易主義的な動きが出ているだけに、アジアの経済国・日中韓が共に参加する枠組みの意味は大きい。

 自動車メーカーなど域内に拠点を持つ日本企業のサプライチェーン(部品の調達・供給網)の効率化につながると期待されるRCEP。貿易・投資を促進させる上で今後の課題となるのは「質の向上」だ。参加15カ国には自国の市場開放に慎重な中国や新興国を含むため、RCEP全体の関税撤廃率は品目ベースで91%にとどまり、TPPや欧州連合(EU)とのEPAなどに比べると劣る。

 協定に盛り込んだ技術移転の要求禁止といった知的財産権保護など、自由で公正なルールを実効性あるものにしていくことも課題だ。人口13億を抱え成長著しいインドの早期参加も求められる。

(久永健志)

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