「江里山」ファン増やしたい 棚田で地域活性化目指す阿南さん

西日本新聞 佐賀版 野村 有希

 日本の棚田百選にも選ばれている佐賀県小城市の「江里山の棚田」。管理する農家らは高齢化し、今後の保全方法や活性化が課題だ。阿南喜房さん(56)=同市=は4月、福岡県東峰村の棚田を活性化させた実績から、佐賀県に棚田を中心とした地域づくり業務を委託された。江里山の古民家に住みながら地域活性化に奮闘している。

 「おばあちゃん、何やっとんの?」。道端でアズキを扱っていた女性に気さくに声を掛け、そのまましばらく話し込んだ。「できるだけ人と話して、まずは地域に溶け込みたい」という阿南さん。女性は「声を掛けてくれるし、明るくていい人」と評した。

 愛用する二輪車のカブであちこち回り、地域の課題を探る。地元の農家らでつくる組合の会合に参加したり、棚田を荒らすイノシシの侵入を防ぐ柵をつくったり…。イノシシが柵を破ると、その都度修理。夜は集落の人たちと杯を交わす。

 出身は北九州市。福岡市の専門学校を卒業後、婦人服メーカーの営業や芸能事務所のマネジャーなどさまざまな職を経験した。2003年にツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(東京)に転職し、14年からは同社が運営している福岡市の「スタートアップカフェ」で起業支援に携わっていた。

 そこで知り合った人の紹介で、東峰村の棚田コーディネーターの募集を知る。もともと田舎暮らしに興味があった。「起業支援も棚田も、依頼主の課題を解決するという点は似ている」と応募した。18年9月から村に住んで地元の人に農作業を教わりながら、棚田のライトアップイベントやキャンプ場の再整備を手掛けた。

 活躍を目にした人から誘われ、地域づくり業務に応募。東峰村の任期終了後に江里山に移った。その地域の印象は「昔ながらの棚田がそのまま残っている。高速道路のインターチェンジが近く、アクセスも良い」。一方で「ヒガンバナが咲く9月の2週間を除けば、ほとんど外から人が来ない」と指摘する。

 地域と多様に関わる「関係人口」を増やすため、ゆくゆくはゲストハウスの運営などを目指す。「江里山は魅力だらけ。一人でも多くのファンを増やしたい」。任期は2023年3月まで。挑戦は始まったばかりだ。

 (野村有希)

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