草刈機まさお、伝導よしみ…お茶目な農機、名付け親は個性派社長 

西日本新聞 筑後版 渋田 祐一

 「草刈機まさお」に芝刈り機の「主役 芝耕作」、発電機搭載の運搬車「伝導よしみ」…。思わずうなってしまうネーミング。用途も一目瞭然。世界46カ国と取引がある農機具メーカー「キャニコム」(福岡県うきは市)の包行均(かねゆきひとし)会長(71)は、自社製品の命名を一手に引き受ける。名付けた製品は、日刊工業新聞社主催の「読者が選ぶネーミング大賞」のいずれかの部門を14年連続で受賞している。「ネーミングは義理と人情」と話す包行会長。製品名に込める思いや、アイデアの根源は何だろうか。

 子どもの頃、仕事で忙しい両親にかまってもらえなかった。自然と自ら考え行動するようになった。

 浮羽東高(現浮羽究真館高)に入学直後、陸上部の創部を学校に訴え、実現させた。その後、校長から「陸上部で学校を有名にしなさい」と言われると、砲丸投げがうまい女子中学生をスカウトした。「自転車店の娘だった彼女を説得するため何度も店に通った。自転車も買ったね」。相手をおもんぱかり、真心を込めて対応した。その甲斐あって、彼女は入学後、常に県内1、2位の成績を残し、高校名は県内に知れ渡り、校長は大喜びした。「こんな経験が今の礎になっているんだろう」と振り返る。

 1973年、筑水農機(現キャニコム)に入社。全国の顧客を回った。当時、馬で丸太を運んでいた林業従事者から「馬の世話で休めない。機械化しないと跡取りができないし嫁も来ない」と要望があった。社長だった父良人さんの指示で、試行錯誤しながら運搬機を作った。山を守る神様「山彦(やまびこ)」から、山で従事する人を守る思いを込め「やまびこ」と名付けた。困り事を解決する商品を作り、一目で機能や特徴が分かる名前を付ける。「製品を使うお客さまの喜ぶ顔を思いながら名付ける」と言う。

 「義理と人情」とは、相手の立場に立って、誠実に向き合うことという。

 「会長は、常に相手に楽しんでもらうことを考えている」と語る同社の岡元達浩DNB戦略室長。「『どのように相手の心をつかむか』。この思いが誰にもまねできないネーミングを生んでいる」と分析する。

 包行会長は「提案した名前で製品が売れなかったら、社員は二の足を踏む。ネーミングはトップの判断。度胸が必要」とも話す。これからも、個性豊かな名前を持った新製品が世界中を駆け巡る。

 (渋田祐一)

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