30年以上前に長崎県の離島、崎戸町(現西海市)を訪れた…

西日本新聞 オピニオン面

 30年以上前に長崎県の離島、崎戸町(現西海市)を訪れた。島にあった崎戸炭鉱の、閉山20周年集会の取材である。長崎市内から車で2時間。原稿処理のため急いで帰社したいのに会の進行は遅れに遅れた

▼各地から集った出席者は「一刻でも早く旧友の顔を見ようと、入り口付近にたむろして」会場に入らない。来賓の登壇もそっちのけ。「肩を抱き合い昔話にふけり、騒然とした」雰囲気に。生死を共にしたヤマの男たちの熱量が式次第を粉々にした、と当日の模様を記事にした

▼崎戸町と、隣の大島町に高校の分校があった。両校は1952年に統合して県立大崎高校が開校する。2校を合わせた校名である

▼失礼ながら多くの人は存じ上げない「大崎」の名が今月、紙上で大きく躍った。高校野球秋季九州大会で初優勝。来春の選抜甲子園大会出場を確実にした

▼決勝戦のスタンドにはOBや保護者200人が詰めかけた。地元の前市長は「夢のよう。地域の応援にしっかり応えてくれた」と目に涙。就任3年目で栄冠をつかんだ清水央彦(あきひこ)監督は「皆さんの応援がなくては語れないチーム」と互いに地域への思いを口にしたそうだ

▼島を離れた人たちも同じ感慨であるに違いない。歓声に包まれたあの集会のように大島、崎戸の名に昔を懐かしく思い返す元炭鉱マンも全国にいることだろう。快挙に「おめでとう」、そして「ありがとう」の言葉を添える。

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