「本場」で見る韓国ドラマ 日本との違いに驚き

西日本新聞 国際面 金田 達依

釜山でモハノ(何してるの)?

 日本でもすっかり市民権を得た韓国ドラマ。今年も飲食業界でのし上がる青年たちを描いた「梨泰院クラス」などが大ヒットした。日本では放送されない作品もあり、「本場」で暮らす者として話題作はできるだけ見るようにしているが、日本との違いに驚くことも多い。

 まずジャンルの豊富さに圧倒される。朝鮮王朝時代が舞台のゾンビドラマ「キングダム」や、謎の怪物とおもちゃの剣で戦う先生を不思議な映像で描く「保健教師アン・ウニョン」、監視社会と詐欺師たちが主題の「私生活」など多彩だ。

 ただ、発想の奇抜さだけで売れている訳ではない。人間心理に深く切り込んで描く手法と、俳優の高い演技力がヒットの理由だと感じる。韓国には演劇や映像制作を専攻できる大学が数多くあり、専門的な知識を学んだ人材の層の厚さが背景にはありそうだ。有名俳優のプロフィルを見ると、大学院まで演技を研究した人もいる。

 韓国の全国放送の地上波は3局だが、ケーブルテレビ局(CATV)が多数あり、ドラマの制作本数も多い。韓国メディアなどによると、激しい競争に加え、優秀なスタッフを集める制作会社の存在も名作を量産する原動力という。実際近年のヒット作は、著名な制作会社がCATV向けに制作した作品が目立つ。

 売れる映像作品を生み出す能力は投資を呼び、潤沢な予算でさらに高品質のドラマが作られる。米動画配信大手「ネットフリックス」は近年、韓国企業と連携を強化。同社が出資し、世界的にヒットする作品が増えている。

 約20年前に韓国ドラマを見始めた身としては、こうした変化は隔世の感を覚える。当時は映画と比べ、テレビドラマの質は低かった。釜山の知人も「昔は記憶喪失と交通事故、恋人同士が実はきょうだいという話ばかり。世界で売れる作品が出るなんて」と驚く。ドラマはその国を知る「窓」だ。制作も流通もスタイルを変え続ける韓国ドラマは、変化が常態とも言える隣国の姿を表しているように感じる。 (金田達依)

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