バス網縮小の一途 18年間で55路線廃止 北九州市議選で論戦求める声

西日本新聞 北九州版 岩谷 瞬

 地域の“足”を担う路線バスが、赤字や人手不足で縮小の一途をたどっている。北九州市では2001年から18年までに民間、市営の計55路線が廃止に。人口減、高齢化の波が押し寄せる中、交通網の縮小・再編は避けられない課題といえ、来年1月投開票の市議選でも議論となりそうだ。市はタクシーの活用など代替策を進めるが、住民は「地域が取り残される」と不安を募らせる。

 平尾台の麓に広がる小倉南区東谷地区。西鉄バス筑豊は来年9月、同地区を通る「後藤寺(田川市)-中谷(同区)線」(1日7往復)を廃止することを決めている。

 同地区を走るバスはこの路線のみで、住民の貴重な交通手段となっていた。住民4776人(9月1日現在)の約43%が65歳以上と高齢化が著しく、「駅に行くのも一苦労のお年寄りばかりで、バスがなくなると大変。近所のおばあさんは運転免許証を返納できず、新車を買うたよ」と地区まちづくり協議会の内尾正憲会長(68)は苦笑する。

 元々はJR小倉駅に乗り入れる快速「田川-小倉線」が運行していたが、赤字のため17年に今の路線へ縮小した。利便性の悪化を受け、中谷より小倉市街地寄りでモノレール駅がある守恒(同区)まで延長した路線を、北九州市が運行経費を補助する形で18年10月~19年3月に試験運行。市内の利用客は前年同期比1・82倍の2万6276人に増えた一方、路線延長で赤字額も同1・45倍の1060万円に膨らみ、本格運行に至らなかった。

 同協議会は今年10月、西鉄バス北九州に東谷のバス路線維持を求める要望書を提出した。「赤字と言われればそれまでだが、生活に不可欠だ。公共交通機関の役割を考えてほしい」。同協議会の前田康典相談役(71)は訴える。

       ◆

 市都市交通政策課によると、18年までに廃止された55路線は、01年時点の市内バス路線の約8分の1を占め、総延長は136・4キロ。利用者減や運転手不足、燃料費高騰などで厳しい状況が続く中、今年はさらに新型コロナウイルスが追い打ちをかけている。

 代替策として市が力を入れるのがタクシーの活用だ。バス路線が廃止されたり高台でバスが走れなかったりする7地区でジャンボタクシーを導入し、市が経費を半額まで補助。4~12人乗りで地域を周回し、予約にも応じるなど使い勝手が良く、新たな住民の“足”を担っている。

 今年1月からは小倉北区と小倉南区の2地域で「相乗りタクシー事業」を開始。こちらは利用客の家とスーパーの間を片道200円の運賃でセダン型タクシーが送迎し、市が事業者の赤字分を穴埋めする。

 「バスより金銭的負担は軽く、小回りもきく」と同課の塚本祐嗣課長。「人口減と高齢化で交通インフラのさらなる再編は避けられない。地域の実情に応じ、効率的な交通網をつくることが重要だ」と強調する。

 東谷地区でも、路線バス廃止に「仕方が無い」と理解を示す声が聞かれるが、「ただね。バスが走らなくなると、いよいよ地域が取り残されるように感じるよ」と前田さんは寂しげにつぶやく。「そうならない議論を市議選でしてほしいねえ」 (岩谷瞬)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ