「落ちない鈴」磨いて心の交流 九大生、氏子の人生談議に魅せられて

西日本新聞 ふくおか都市圏版 下村 佳史

 火災に遭いながら焼け落ちなかった「落ちない鈴」が受験生の間で評判となった太郎丸神社(福岡市西区)で、九大生らが毎週土曜日、鈴を磨く奉仕作業をして氏子らと交流している。交流の中心になっているのは、新型コロナウイルス感染拡大防止のためオンライン授業となり、友人をつくる機会に恵まれなかった1年生ら。氏子とのきさくな会話を楽しんでいる。

 対面授業が行われていなかった5月初旬。理学部1年の本屋敷健太さんは、会員制交流サイト(SNS)を通じて新入生3人と知り合いとなった。直接会うことになり、4人が待ち合わせの場所にしたのが目の前に伊都キャンパスが広がる同神社境内だった。

 神社には鈴磨きを終え、くつろいでいた4人の氏子がいた。境内で話し込んでいる学生たちを見かけると「上がってこんね」と拝殿へ招き入れた。本屋敷さんらは「落ちない鈴」にまつわるエピソードを初めて聞き、60~70代の氏子らの人生談議に魅せられた。これを機に鈴磨きの交流が始まった。

 氏子でつくる「鈴磨きの会」の三苫政一さん(71)は、20年前までケミカルタンカーの乗組員として東南アジアに向かう航路で働いた。いったん、日本を離れると、8カ月にわたって各国の港を巡る日々。台風に遭ったときのすさまじい航海など豊かな人生経験は学生らには興味深かった。

 「近くの神社でおじさんたちが毎週、掃除をしている。手伝っている学生もいるから今度行ってみよう」。本屋敷さんらの話がほかの学生たちにも広がった。

 芸術工学部1年の久保瑞希さんは、寮の友人に誘われて5月から参加するようになった。「最初は暇だから、地域貢献でもしてみようと軽い気持ち。でもおじさんたちから、さまざまな生き方が学べる」と感謝。神社のTシャツのデザイン作成も手伝っている。

 毎回2~3人の学生が訪れ、くすみやすい真ちゅう製の鈴を研磨剤で磨き、さび止めを塗っている。鈴磨きを経験した学生は延べ13人。このうち9人は1年生だ。神社の木戸利信総代長(70)は「学生たちがほかにも地域でやってみたいことがあったら、手助けをしていきたい」。卒業まで、地元住民との交流の輪がさまざまに広がっていきそうだ。 (下村佳史)

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