国際大会「各競技が二の足」 先行き見通せず 出場権争いに不安も

西日本新聞 総合面 末継 智章

 菅首相と16日に会談したIOCのバッハ会長は来夏の東京五輪・パラリンピックについて、8日に日本国内でコロナ禍後初の国際大会として体操の大会が開かれた実績を理由に「安全な大会を実現できる」と強調した。しかし、世界的な感染の再拡大を受けて国際大会の再開に二の足を踏む競技団体は多い。全体の4割以上が未確定な五輪の出場権争いを含め、本番までの過程には不安要素が多い。

 複数人が同じバーベルを触る重量挙げは3月から国際大会が滞っている。日本代表の選考で重視される来年3月のアジア選手権(ウズベキスタン)も詳細な日程が固まっていない。

 女子49キロ級代表を五輪2大会連続メダルの三宅宏実選手(いちご)と争う柳田瑞季選手(九州国際大職)にとっては同選手権で好記録を出すことが五輪出場の最低条件。柳田選手を指導する九州国際大の福田登美男監督は「今一番強い選手を五輪に出すべきだが、アジア選手権が開かれなくなると証明する場がない。せめて敗者(代表に落選した選手)が理由を理解できる選考に」と先行きが見えない状況に不安を募らせる。

 世界レスリング連合は日本や米国などが派遣を見送ったことから12月中旬にセルビアで予定していた世界選手権の開催を断念した。日本は男子フリースタイル57キロ級、女子50キロ級などで五輪出場枠を確保しておらず、来年3月のアジア予選(中国)と同4~5月の世界予選(ブルガリア)で出場権獲得を目指している。だが、国内の感染再拡大を受けて男子の強化合宿を中止するなど苦闘が続く。

 10月に主要国際大会を再開した柔道やバドミントンも再び年内の開催をやめ、来年2~3月に控える欧州での主要大会も雲行きが怪しくなっている。両競技とも五輪前の国際大会を通じて自身とライバルの状態を確認し、対策を練って本番に生かしてきた。日本バドミントン協会の京田和男・選手強化本部長は「10月の大会に出なかった選手は実戦からかなり遠ざかる」と試合勘への影響を危ぶむ。

 「アスリートファースト」を掲げてきた東京五輪。開催へIOCの後押しは確認できたが、選手が納得する形での選手選考や準備への環境整備など多くの課題が残る。 (末継智章)

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