"普賢さん"と共存30年、白い噴気なお…「噴火災害は終わっていない」

西日本新聞 社会面 真弓 一夫

 長崎県の雲仙・普賢岳が198年ぶりに本格的な噴火活動を始めた1990年11月17日から30年を迎えた。この時の「平成噴火」は5年半で終息宣言が出されたが、地元は数百年のサイクルで眠りと覚醒を繰り返す活火山と共存。「普賢さん」と畏敬と親しみを込め、山を見続ける。

 同県島原市街地から望む普賢岳。鋭く隆起した黒褐色の標高は1483メートル。噴火で流れ出たマグマが固まってできた溶岩ドームだ。平成新山と呼ばれる。

 崩落などの恐れから一帯は警戒区域に指定され、地元首長の許可がなければ立ち入れない。その中心に位置するドームの規模は、長さ約600メートル、幅約500メートル、高さ約100メートル。体積は約1億立方メートル(ペイペイドーム53杯分)に及ぶ。

 稜線(りょうせん)から白い「もや」が立ち上る。九州大地震火山観測研究センターによると、もやの正体は溶岩の隙間から噴き出す「噴気」。雨水がドームに染み込んで熱せられたもので、その温度は活火山のエネルギーを知る目安となる。

 終息宣言1年前の95年には720度に達したが、2011年7月に100度を切って以降は90度前後で推移する。新たなマグマの供給を示す山体の膨張も観測されず、同センターの松島健准教授(地球物理学)は「かつて含まれた火山ガスも減った。噴気の99・9%は雨水が熱せられたもの」と解説。何らかの拍子で噴気口がふさがれば小規模な水蒸気爆発の可能性はあるものの、火山活動としては「落ち着いた状態」と言える。

 研究者や、ドームの挙動を観測する国土交通省雲仙復興事務所が懸念するのは、ドームの崩落。復興事務所がレーダーなどによる観測を始めた97年5月から今年9月までに、東南東に約1・36メートルずり落ちている。担当者は「砂山の上に石を載せているような不安定な状態だ」と指摘する。

 崩落で流れ出る岩や土砂を受け止める砂防ダム群や、流出エリアを水無川の堤防内に食い止める導流堤は本年度末で完成する予定。だが、規模によっては最速で岩や土砂が約7分で有明海に達するとされ、周辺の民家への影響が心配される。避難訓練を続ける島原市安中地区町内会連絡協議会の阿南達也会長(82)は節目を迎えるに当たっても、変わることなく山を見上げ、「噴火災害は終わっていない。火山と共存していかねば」と気持ちを新たにしていた。 (真弓一夫)

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